2019年3月13日 16時0分
文春オンライン

 現役幹部社員が2017年春、リクルーターとして面会した就職活動中の女子大学生に、不適切な行為を働いていたことが明るみに出た(「週刊文春」2019年3月14日号)大手ゼネコン「大林組」(東京都港区)。今回、大林組の人事部長らが、2018年4月に入社したこの女性社員へのヒアリングの場で、彼女に非があるかのような質問を重ねていたことが、「週刊文春」が入手した音声データで分かった。

幹部社員とは、東北地方の工事事務所で所長を務めていた高橋修一氏(仮名)。2017年4月、リクルーターという立場にもかかわらず、女子大学生の斉藤絵美さん(仮名)を酩酊させ、ビジネスホテルに連れ込んで性行為に及んでいた。斉藤さんは当時、大林組の役員面接の直前だったという。まもなく内定を得た斉藤さんだったが、高橋氏の誘いを断ることができず、その後も関係を持ち続けていた。

「週刊文春」が大林組に取材を申し込んだ翌日の3月5日、本社の人事部長と女性の人事課長から会議室に呼び出された斉藤さん。そこでは、以下のようなやり取りがあった。

人事部長「彼はあなたと逢瀬を重ねているときに、どんな話をするんですか?」

斉藤「……」

人事部長「正直言って、男女関係ですよね、要は。1回目は確かにリクルーターと学生という関係だったかもしれないけど、内々定が決まった後、正直言って、別に彼に何の権限があってね、あなたの内定を取り消すことができるわけでもないし、普通にLINEで食事に誘って、その後ホテルに行ってっていう、まあ、普通の恋人関係、男女関係ですよね、そうなってくると」

 また、女性の人事課長は、当時、女性社員に彼氏がいたのかを質問。「いたんですけど……」と答えると、次のように発言した。

「彼氏に対し、申し訳なさとか逃げ出したいとは思わなかったんですか」

 ヒアリングは約180分間にわたったという。

 斉藤さんが振り返る。

「相手の口調は丁寧でしたが、無表情で威圧感を感じました。思い出したくない出来事について何度も聞かれ、最後は“男女の問題”に矮小化しているようにも感じた……。やっぱり会社に相談しなくてよかったと改めて思っています」

 大林組に人事部長らの発言の意図などについて尋ねたが、「お答えは控えます」と口頭で回答した。

 セクハラ被害などに詳しい新村響子弁護士は「人事部長の発言は、典型的なセカンドハラスメントです」と指摘する。人事部長と言えば、労務管理部門の責任者だけに、大林組の企業体質が問われる事態に発展しそうだ。

 3月14日(木)発売の「週刊文春」では、人事部長らによるヒアリングを詳しく取り上げているほか、セクハラ被害や労働問題の専門家による見解、今回の問題を受けての大林組の対応などについて報じている。また、「週刊文春デジタル」では、人事部長らによるヒアリングを録音した音声を同日午前5時より公開する。

http://news.livedoor.com/lite/article_detail/16153511/