2019年3月14日 / 03:20 / 13時間前更新
アイルランドを悩ますブレグジットの「天国と地獄」
Peter Thal Larsen Aimee Donnellan
[ロンドン 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ダブリンの空に、再び建設用クレーンがそびえるようになった。悲惨な資産価格の暴落から10年、アイルランドの首都では、再び猛烈な勢いで建設工事が行われている。アイルランド紙アイリッシュ・タイムズは今年1月、同紙のオフィスから100基以上のクレーンを確認した。3年前の3倍である。
新たなオフィスビルやショッピングセンターの建設ラッシュが起きていることは、「エメラルド島」とも称されるアイルランドの経済復活を証明している。英国で事業を展開する企業にとって、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)後の拠点を探すうえでダブリンは最有力候補となっており、英シンクタンクのニューフィナンシャルのデータによれば、すでに100社がダブリンに拠点を設けているという。
ロンドンの金融街シティから事業の移転を進めている英大手銀行バークレイズ(BARC.L)や米金融大手バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)(BAC.N)が、米アルファベット傘下のグーグル(GOOGL.O) や米フェイスブック(FB.O)といったテクノロジー企業と事業用地やオフィスの争奪戦を繰り広げている。他のユーロ圏諸国では景気が減速しているのに、アイルランドの国民総生産(経済の開放度を考えれば、国内総生産よりも精度が高い)は、昨年5.6%の成長を示した。
だがその復活が、アイリッシュ海を挟んだ政治的混乱によって脅かされている。
英国が3月29日に合意無しにEUから離脱するリスクが消費者心理に重くのしかかり、海外投資を滞らせているからだ。金融機関や一般企業の経営者のあいだには、合意なきブレグジットで英領北アイルランドとの国境管理が再び厳格化されれば、かつてのような暴力的な宗派対立が再燃し、ダブリンにも影響が及ぶのではないかと懸念する声もある。
ブレグジットは、アイルランドを経済的な試練に追い込んでいる。
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