2019年3月15日 20時44分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190315/k10011850111000.html

開業から22年続いた秋田新幹線の一部の区間の車内販売の営業が15日で終わり、乗客からは惜しむ声が聞かれました。

15日で車内販売の営業が終了するのは、秋田新幹線の「こまち」の秋田と盛岡の間、東北新幹線の「やまびこ」のすべての区間、北海道新幹線の「はやぶさ」と「はやて」の新青森と新函館北斗の間などです。

また、秋田新幹線の盛岡と東京の間では、16日から飲み物やつまみ類、菓子などは販売されますが、弁当や軽食は販売されなくなります。

午前11時すぎにJR秋田駅を出発した秋田新幹線の車内では、販売のワゴンが来ると、多くの乗客が弁当や飲み物を買い求めていました。

車内販売終了を惜しむ声
秋田新幹線などで車内販売がなくなることを受けて、乗客からは終了を惜しむ声が聞かれました。

午前11時すぎにJR秋田駅を出発した秋田新幹線で車内販売を利用した男性は「コーヒーを買いました。暖かい飲み物や冷たいお酒を飲めるのが車内販売の魅力です。車内販売がなくなってしまうとさみしいです」と話していました。

秋田新幹線を利用して仙台市に向かう男性は「きょうで車内販売が終わってしまうので、お弁当を買おうと思います。息子と一緒に食べます」と話していました。

また、秋田新幹線を利用して埼玉県に戻る男性は「お土産や弁当を買い忘れた時によく利用していました。車内販売がなくなると不便になります」と話していました。
最終日に臨むベテラン販売員
JR東日本の関連会社に勤める秋田県由利本荘市の佐々木望さん(39)は平成11年から秋田新幹線の車内販売員を務めてきました。

秋田新幹線の秋田と盛岡の間の車内販売の営業が終了するため、15日が佐々木さんにとって最後の車内販売となりました。

佐々木さんは午前9時半すぎに秋田市内の会社に出社すると、上司から「感謝の心で、最終日も事故のないようお願いします。行ってらっしゃい」と声をかけられ、JR秋田駅のホームに向かいました。

このあと佐々木さんは弁当や飲み物を積んだワゴンを新幹線の車内に搬入し、いつもどおり笑顔で接客することを心がけて、最後の車内販売に臨んでいました。

午前11時すぎに新幹線が出発すると、佐々木さんはワゴンを押しながら車内を移動し、弁当や飲み物を買い求める乗客に接客していました。

佐々木さんは車内販売での乗客との出会いは1度しかないと考えて、誠実に接することを目標に接客してきたということです。

佐々木さんは「毎回、新鮮な気持ちで仕事ができるのが魅力でした。車内販売の営業が終わるのはさみしいですが、よい仕事に巡り会えてよかったです」と話していました。
車内販売減少も駅ナカは充実
鉄道で車内販売のサービスが縮小されるのは駅の売店などを利用する人が増えていることや、販売員の確保が難しくなっていることが背景にあります。

JR東日本によりますと、昨年度の車内販売の売上高は前の年度に比べて5%減少していて、ピークだった平成11年度に比べると45%と半分以下に落ち込んでいます。

さらにJR北海道ではピークだった平成13年度のおよそ8億円から4分の1に減っています。

一方、北陸新幹線や東海道・山陽新幹線では車内販売は継続され、JR各社はサービスの向上に努めているとしています。

また駅構内のいわゆる「駅ナカ」は店舗や品ぞろえを増やしていて、このうち平成19年に開業した東京駅の商業施設は昨年度の売り上げが開業当初のおよそ3倍に増えています。