尿をエネルギーに燃料電池 山小屋で電灯つけ、思い立つ
2019年3月16日09時56分
https://www.asahi.com/articles/ASM3G61KDM3GPLBJ00D.html

 尿素や糖分をエネルギーにして発電する小型の燃料電池を大阪工業大学の金藤敬一教授(有機エレクトロニクス)が開発した。尿やジュースをエネルギー源として使えるという。
 将来的に、電源がとれない山小屋やパーキングエリアで電灯をつけたり、体内の尿を利用することで電力が必要な人工臓器を動かしたりするなどの応用が、期待される。
 燃料電池は、水素などの燃料を、化学反応を促進させる「触媒」を使って酸化させ、発電するしくみだ。金藤さんは、南アルプスの山小屋で懐中電灯をともしてトイレに行ったとき、「尿を燃料にできれば」と思い立ったという。
 ただ、燃料電池の触媒としてよく使われる白金(プラチナ)は、尿素では作用せず使えない。そこで電気をよく通す「導電性高分子」に着目。これを主な材料にした新たな触媒を作製した。改良を重ね、約2センチ角、厚さ1ミリ程度の小型燃料電池に仕上げた。4個をつなげ、5ミリの四角い穴に注射器で尿素を注入すると、約3ボルトの電圧が発生し、LEDをともせることを確認した。
 実際の尿や、尿素以外の糖(グルコース)、アルコール(メタノール)を燃料にすることもできる。金藤さんは「持ち運びができるので、非常時にジュースや尿を使って発電し、助けを求めることにも使える。実用化に向けて出力をさらに上げたい」と話す。(鈴木智之)