楽天西友ネットスーパーだけが、各社軒並み撤退のなかで“想定外の好調”の理由
2019.03.16
https://biz-journal.jp/2019/03/post_27104.html

 日用品だけではなく、生鮮食品や加工食品までインターネットで購入できるネットスーパーだが、この便利なサービスの事業者の多くが、赤字で苦しんでいるという。

 ネットスーパーに参入した各社にとっては、リアルの店舗で行っていたものとは別に、新たな流通体系やシステムの構築をしなければならないことが、大きなコストとなっているようだ。また、ネット通販市場の拡大に伴って、配送事業者の人手不足が深刻化しており、配送料が高騰し、コストがかさんでいることも要因のひとつだという。

 そのビジネスモデルに早くも限界がきているのか、2018年の2月にはファミリーマートが、8月にはローソンがネットスーパー事業から撤退し、さらにはスーパーマーケット事業を主幹にしているユニーさえも、撤退を検討中と報道されている。

 そんな厳しいネットスーパー業界に、新規参入をかけたのが楽天と西友だ。2社がタッグを組んで始めた「楽天西友ネットスーパー」は、昨年10月に正式オープンしたばかりだが、開始3週間でプレオープン時から1.4倍の新規客を獲得するなど、好スタートを切ったようだ。

 なぜ、楽天西友は新たなネットスーパーの立ち上げに成功したのだろうか。アマゾンジャパンに勤めていた経験を持ち、マーケティングコンサルタントとして活動しているマーケティングアイズ株式会社代表・理央周(りおうめぐる)氏に、「楽天西友ネットスーパー」好調の理由について聞いた。

◆楽天と西友の提携は、お互いの弱みを補完し合っている

 そもそも、なぜ楽天と西友は手を組んでネットスーパーを立ち上げたのだろうか。理央氏の考える業務提携の狙いとはなんだろうか。

「楽天と西友が上手だなと思うのは、それぞれの強みを踏まえて業務提携をしたところです。楽天側からすれば、今からネットスーパーを始めようと思ったときに、一番難しいのは仕入れです。仕入れは、農家や農協などときっちり関係性をつくらないとできません。楽天が今から仕入れの関係性づくりを始めるのは、無理だといっても過言ではないと思います。
仮に、じっくり腰を据えて事業を進めようとしたら、時間をかけて関係性を構築している間にネットスーパー業界で淘汰されてしまうでしょう。おそらく、楽天の三木谷浩史社長はそのあたりをよくわかっていらっしゃって、ネットスーパーを立ち上げるにはどこかと組む必要があると考えていたのでしょう。

 もう一方の西友側も同じことです。リアル店舗はしっかりと持っていますが、eコマースのノウハウはまったくといっていいほどないわけですし、ネット通販の流通網をゼロから構築することも難しかった。楽天も西友も、自社で新規事業部をつくってネットスーパーを始めることもできたはずですが、この2社はそれぞれ強みをわかったうえで、さらに自社に足りないところをしっかりと理解し、提携を行ったのではないでしょうか。

 基本的に、鮮度が重要視される生鮮食品は、ネット通販と相性が悪いのです。そこで、ネット企業大手の楽天と協業したというのは、戦略として非常に正しいと思います。お互いの長所を生かし、スピード感を持ってやるという意味では、楽天西友は“アリ”ですし、これからの成長も非常に楽しみです」(理央氏)

※以下省略