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荻上 ちなみに、このメールの方がどうかは分からないですが、最近言われている「朝鮮人虐殺は無かった」との主張には、実は言葉のお遊びみたいなところが少しあります。
実際に殺された朝鮮人は確かにいたが、彼らは悪い朝鮮人だから殺されても仕方がなかった、つまり正当防衛であって虐殺ではない、というロジックになっているんですね。
山田さん、なぜ自警団は、朝鮮人をターゲットにして、殺害を行うことになったんでしょうか。

山田 例えば、1919年3月1日に起こった3・1運動なんて大きな独立運動がありましたよね、朝鮮全土にわたって起こった。それは、参加人数が200万人で、約6ヶ月続いているんですよ。
日本人は官民ともに、これに恐怖感を抱いたわけですね。しかし、日本人には、朝鮮人に対する恐怖感もあると同時に、差別意識も非常に強かったと思います。

在日朝鮮人が増えてくるのは第一次世界大戦の頃からです。その頃に朝鮮人について書かれた文書なんかを見ますとね、朝鮮人の賃金は日本人より2、3割安いというんですよ。それでなおかつ、長時間で危険で汚い、労苦の多い仕事に従事されられたのです。

朝鮮人は恐ろしい人間であると同時に、差別された蔑視の対象としても見られていて、そこから、「排除しても構わない」という意識が生まれてきたのがひとつ。
また、自警団に入ったのは貧しい人が多かったんですけど、大正デモクラシーの時代と言えども、民衆はまだ皇国臣民だったんですね。
お上のいう事は間違いないだろうという意識がありましたから、官憲が流言朝鮮人暴動のデマを信じてしまったのです。