>>135

過大請求について
裁判所の判断

上記のとおり共同不法行為の連帯債務関係に関する法律を熟知している弁護士である被告としては,訴訟上の和解により和解契約を締結するに際し,民法及び民事訴訟法に定める信義則上の義務として,
医療過誤による連帯債務の弁済の事実を知らないことが訴訟経過から明らかな契約の相手方である加害者ないしは裁判所に対し,
a医大からの解決金の支払の事実を説明し,その情報を提供すべき義務があるというべきである。したがって,この義務を怠って訴訟上の和解を成立させ,和解に基づく損害賠償金の支払を受けたときは,その行為は不法行為としての違法性を有する。

 この場合,和解をしなければ支払うことがなかったといえる部分
すなわち,和解により支払った損害賠償額のうち,交通事故により加害者が負うことになった本来の損害賠償債務から解決金の支払により消滅した連帯債務の部分を控除した損害賠償債務の残額を超える部分については,
加害者に代わって損害賠償をした保険会社である原告の権利を侵害したものとして,その損害を賠償すべき義務がある。

 そして被告は,共同不法行為の法律関係を熟知している法律専門家たる弁護士であったのであるから,
a医大からの解決金支払の事実を加害者側に説明し,情報を提供すべき信義則上の義務があることを認識し得たはずであり,
それにもかかわらず,あえて説明をしないまま和解したものであって,