警察庁と17道府県の警察官467人が、昇任試験の対策問題集を出版する「EDU−COM」(東京)から原稿執筆料を受け取っていた問題で、うち約30人に地方公務員法などが禁じる無許可副業の疑いがあるとして、警察庁などが調べていることが分かった。西日本新聞が関係者から入手した同社の支払いリストによると、12カ月以上、毎月執筆料が支払われたのは少なくとも36人に上っており、こうした警察官が調査対象とみられる。

 17日の衆院内閣委員会で共産党の塩川鉄也氏が一連の問題を巡る警察の調査状況についてただした。

 山本順三国家公安委員長は「少なくとも30人程度は兼業に当たるか否かなどについてなお事実確認が必要。引き続き関係警察において事実関係の確認や関係機関との協議を進めている」と明らかにした。一方で、「400人を超えるかなりの部分は、これまでの確認で問題のないケースであると承知している」と述べた。

 塩川氏は調査を終えた警察分や、全体の調査結果の公表時期を明らかにするよう求めた。山本氏は「全体像を把握する必要があり、それをベースにして処分を考えなければならない。事実確認終了の確たる時期を申し上げる段階にない」と釈明。その上で「可能な限り早期に事実確認を行った上で、必要に応じて適切な対処がなされるよう警察に指導していく」と答えた。

 塩川氏は「警察への信頼が問われている問題。直ちに全面的に(調査結果を)明らかにすべきだ。国民の目線で、国民の立場でしっかりと検証していくことが求められる」と要望した。

 「EDU−COM」が作成した支払いリストには2010年1月〜17年3月、警察官467人に原稿執筆料として計1億円超が支払われたと記載されていた。さらに同社に「取扱注意」を含む警察の内部文書数千点が流出していたことも判明。国家公安委員長からの指示を受け、警察庁などが調査に乗り出していた。

西日本新聞 2019年04月20日 06時00分
https://www.nishinippon.co.jp/sp/nnp/national/article/504106/