神戸のバス事故 発進前に観光客に地図広げ示す様子
2019年4月22日 19時03分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190422/k10011892571000.html
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21日、神戸市中心部で市営バスが歩行者を次々にはね、2人が死亡、6人がけがをした事故で、逮捕された運転手が事故の直前、道を尋ねて乗り込んできた観光客に地図を広げて示していたことが捜査関係者への取材で分かりました。警察は、その後の運転状況について詳しく調べています。

21日、神戸市中央区のJR三ノ宮駅前の横断歩道で、市営バスが歩行者を次々にはね、神戸市須磨区のアルバイト、那須勇成さん(23)と兵庫県明石市の大学3年生、柳井梨緒さん(20)が死亡し、男女6人がけがをしました。

警察によりますと、バスは、現場のすぐ手前のバス停で乗客を降ろしたあと、赤信号で止まらずに横断歩道に進入したことが分かっていて、逮捕された運転手の大野二巳雄容疑者(64)は、「ブレーキを踏みながら発進準備をしていたら、急発進した」と供述しているということです。

捜査関係者によりますと、バスの車内のドライブレコーダーにはバス停で止まっていたときに観光客が乗り込んできて、大野容疑者が運転席に座ったまま地図を広げて示す様子が映っていたということで、その前後に信号は青から赤に変わっていました。

ドライブレコーダーには歩行者をはねる直前、大野容疑者の叫び声のような音声も記録されていたということです。

警察は、事故直前の運転状況について詳しく調べています。

◆バスの安全装置とは
高速道路でバスの事故が相次いだことを受け、大型のバスやトラックを対象に衝突の危険を検知して自動でブレーキがかかる装置が義務化されましたが、一般道路を走る路線バスは対象になっていません。

平成24年、群馬県の関越自動車道でツアーバスが壁に激突し、乗客7人が死亡した事故などを受け、平成26年以降、新たに生産される大型のバスとトラックを対象に自動ブレーキの搭載が義務化されました。

しかし、一般道路を走る路線バスは立ったまま乗る人も多く、走行中に急にブレーキがかかるとかえってけがをするおそれがあるため義務化の対象になっていません。

また、近年は大型バスにも操作が簡単なオートマチック車が導入されるようになっていて、事故を起こした神戸市営の路線バスもオートマチック車でした。

オートマチックの乗用車では、ブレーキとアクセルの踏み間違えなどによる暴走を防ぐ装置の普及が進んでいて、平成29年に販売された新車の65%に搭載されていますが、国土交通省によりますと、バスには踏み間違えを防ぐ装置は導入されていないということです。

◆運転手全員の持病の有無など確認へ
事故を受けて神戸市交通局は小柳勝担当課長らが22日午後、記者会見し、
「事故を起こした運転手は糖尿病でインシュリンの注射しているがそのことが事故の原因につながったかどうかは分からない」としたうえで、今後、本人から当時の体調や詳しい状況を確認したいと述べました。

そして、市営バスの運転手およそ800人全員について、念のため、持病の有無や薬を服用している場合はその種類や量を聞き取り、運転への影響がないか確認する方針だと述べました。

このほか、事故を起こしたバスと同じ車種の38台について緊急点検を行った結果、異常はなかったと説明しました。