トップに聞く 実学教育の雄 近畿大学 細井美彦学長 2018年8月13日

世界で初めてクロマグロの完全養殖を成功させた近大マグロ、ド派手な入学式などで話題を集める近畿大学。
西日本を代表する総合大学として、少子高齢化が進む我が国で、どのような人材育成をしようとしているのか。
この春、学長に就任した細井美彦教授に聞いた。

実学とは独創的な研究を社会に生かし、収益にもつなげるということです。その成果として知られているのが、クロマグロの完全養殖の成功です。
近大マグロなどを提供する養殖魚専門店「近畿大学水産研究所」を大阪と東京に出店しましたが、収益事業というだけでなく、店は学生たちの学びの場にもなっています。

本学は、英教育誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」の世界大学ランキングで、国立大学並みか、それ以上に論文の被引用数が多いと評価されています。
企業からの研究受託件数もトップクラスです。
国際学部最大の特徴は、すべての学生に、1年次後期から1年間の留学プログラムに参加することが、義務づけられていることです。重要なのは学ぶ姿勢や学びのシステムを身につけることです。
海外の研究機関との共同研究にも力を入れ、海外から教員や学生が集まる世界水準の大学を目指しています。

現在、東大阪キャンパスの大規模整備計画「超近大プロジェクト」を進めています。
昨年4月にオープンした学術交流拠点「ACADEMIC THEATER」には、マンガ約2万2000冊を含む約7万冊の図書を独自の分類で収蔵したビブリオシアターがあります。
女性専用室も完備した24時間利用可能な自習室、世界のニュースに生で触れられるカフェ「CNN Cafe」、課題解決型プロジェクトを行うために学生や企業、地域住民の方々が交流できるスペース「ACT」などを新設しました。

近大は一般入試の志願者総数が5年連続日本一だ。
インターネット出願をいち早く取り入れ、2016年には1年次から海外留学を義務づけた国際学部を新設。
「実学教育」の拠点、アカデミックシアターを開設するなど、キャンパス整備にも意欲的だ。

25年には創立100周年。次なる一手は……。その動向から目が離せない。
https://mainichi.jp/articles/20180813/org/00m/100/005000c