盲目の美術家八田(はった)豊さん(89)=福井県越前市=の作品展「流れに触れる」が神戸市中央区の兵庫県立美術館で開かれている。視覚障害者らに美術に親しんでもらおうと、同館が1989年度から続けてきた企画展「美術の中のかたち−手で見る造形」の一環。和紙やその原料コウゾを素材にした平面作品12点を展示し、手で触れて鑑賞することもできる。
八田さんは80年代前半に視力が低下し、やがて失明。一時は制作から離れていたが、90年代以降、地元名産の和紙やコウゾをパネルなどに貼り付けた連作「流れ」を発表している。
地層や川の流れなどを連想させる抽象画のようにも見える作品群で、紙やコウゾの質感が素朴さやぬくもりも感じさせる。手のひらや指でなでた小学1年の児童=奈良市=は「ゴワゴワしていておもしろい」とにっこり。
同館の小野尚子学芸員は「作家が指先の感覚を頼りに作った作品に触れ、制作の軌跡を追体験してもらえれば」と話した。
9月7日午後2時から同館レクチャールームで八田さんによるトークがある。先着100人。聴講無料。同展は11月10日まで。月曜(祝日・振替休日の場合は翌火曜)休館。一般500円ほか。同館TEL078・****
(堀井正純)
八田豊さんの抽象アートを、手で“見る”=兵庫県立美術館
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2019/8/31 06:20神戸新聞NEXT