「先を急ぐ若者」小泉進次郎氏 日本政界を駆け上がる
2019年 9月 17日

人気の高い小泉純一郎元首相の次男で、衆議院議員の小泉進次郎氏が先月、マスコミの注目を一手に集めた。テレビ司会者との結婚を発表し、赤ちゃん誕生後の育児休暇取得を検討していると述べたのだ。

公的機関が男女平等を推進しながら、子どもの教育においてはいまだ女性に中心的な役割が期待されている国においては、めったにない発言だった。ただ、小泉氏に注目が集まったのは過去に何度もあった。

父親と区別するため「進次郎氏」と呼ばれることも多い38歳の小泉氏は、常にメディアの取材対象だ。そして、日本の最高位職の有力候補として、よく名前が挙がる。

■沖に出ない「サーファー」
今月11日に安倍晋三首相の内閣改造で環境大臣に任命された際にも、当然ながらニュースとなった。小泉氏は、第2次大戦後の日本の内閣で、3番目に若い大臣となったのだった。

これから小泉氏がどんな手腕を見せるのか、評論家たちは注目している。

「いままでは、岸辺の観客には格好よく見える一方で、沖には決して出ようとしない『サーファー』のようだった」と、政治アナリストの伊藤惇夫氏はBBCに語った。

「大臣となり、社会のさまざまな荒波を避けられなくなったことで、これから彼の真の実力が明らかになるだろう」

■「先を急ぐ若者」
英字紙 ジャパンタイムズで「アメリカのいわゆるジャパン・ハンドの間で有名」と紹介 された小泉氏は、米ニューヨークにあるコロンビア大学で政治学の修士号を取得。米首都ワシントンのシンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)で研究員として働いた。

「小泉氏の若さ、外見、ときに大衆迎合的な弁舌、メディアへの露出が多くのファンを生んだ」と同紙は説明。同時に、「批評家からは、そうした資質は大臣として組織を統制し、結果を出すのに必要なものとは違うとの声が出ている」と伝えた。
(中略)

■重要問題では考え明確にせず
フランスと日本人の間に生まれた42歳の滝川クリステル氏と結婚すると、小泉氏が首相官邸で発表した模様は、メディアで大きく報じられた。滝川氏は、来年夏に開かれる東京五輪の誘致を成功させた「顔」として知られるスターだ。

小泉氏は、現行の法律では認められていない夫婦別姓に賛成してきた。日本の伝統的な慣習を批判することもあった。

しかし、安倍氏の保守的な考えの一部に共鳴もしてきた。戦没者を祭り、賛否の分かれる靖国神社への参拝をしてきたことを、メディアは取り上げてきた。

一方、自民党内では改革派としてのイメージを作り上げた。その過程では、重鎮議員たちを怒らせないよう気を使ってきた。主要な問題については、注目を浴びる存在にも関わらず、自らの意見を明らかにすることは避けてきた。
■育休は取る?
政治の専門家たちからは、小泉氏の原子力発電の問題に対する立ち位置に注目すべきとの声が出ている。安倍氏(2021年9月まで首相にとどまるとみられている)が推進の立場なのに対し、小泉氏の父親は、2011年の福島における大災害の後、原子力エネルギーに強く反対するようになった。

ただ、小泉氏はすでにサインを出しているのかもしれない。大臣就任後の記者会見で、「(原子力発電所を)どうやったら残せるかではなく、どうやったらなくせるかを考えていきたい」と述べたと、共同通信は伝えている。

だが、直近で注目されるのは、別の問題になりそうだ。来年早くに小泉夫妻に子どもが誕生したとき、小泉氏は育児休暇を取るのかという点だ。もし取れば、大臣としては初となる。

小泉氏はまだ思案中だが、こう述べたと報じられている。「(それを)検討していますと言っただけで、賛否両論を含めて騒ぎになるということが、日本って堅いね、古いね」

(英語記事  The 'young guy in a hurry' rising up Japan's ranks )
https://www.bbc.com/japanese/amp/features-and-analysis-49724771?__twitter_impression=true
https://i.imgur.com/MYW1d3T.jpg