△関東煮だ

▽韓国ブランドを好むのは“ファッション初心者”

では、なぜK-POPがこれほどまで日本に浸透しているのか。
K-POPに限らず、もともと韓国の企業は海外への進出が得意だと言われている。
その根底にあるのは決して大きいとはいえない韓国国内市場の規模。
韓国の人口は約5000万人で、GDPは日本の3分の1もない。

音楽も同様で、韓国の音楽市場は14億400万ドルほどと推計されており、日本の6分の1程度しかない。
この規模だと国内セールスだけではビジネスとして成り立たないといわれている。
そのために韓国企業が成長を遂げるには海外進出が必要であり、政府も後押しをした結果、海外進出のノウハウが蓄積されていったと言える。
韓国企業は世界中に進出しているが、距離的にも近い日本では特にこれが顕著なのだ。

個人的には今回の韓国ファッションがビジネス規模はさほどではないブームだと映る。
理由は普段接触しているアパレル企業や製造加工業者からはほとんど韓国ブランドが話題に上らないからだ。
メディアや一部のインフルエンサーは注目をしているが、実際のところ、10代が全員韓国ファッション好きではない。
私には高校生の娘が1人いるが、韓国ファッションにはまったく興味を示さない。
またどんなに韓国好きでも30代、40代、50代の日本人女性は韓国ファッションを購買着用していない。

ファッション専門学校の講師をしている知人によると、専門学校の説明会に来る子の中には韓国ファッションファンがいるが、その子たちは「ファッション初心者」である場合が多いという。
そしてその知人によると、入学時に韓国ファッション好きでも学年が進み知識が増えるごとに韓国ファッションを卒業し、興味は国内デザイナーズブランドや欧米モードブランドなどに移行していくという。
ファッションに興味を持ち始めたときに、一番目に付きやすいのが2019年はK-POPなのだと考えられる。
そして、その時代によって対象は変わってきた。

大学生になると多くの人は交友関係が広がるが、中高生の時代はクラスや部活の交友関係がほぼすべてである。
そして自分の属しているグループの嗜好に大きく左右される。
韓流好きのグループに属していれば韓国ファッションに興味を持つだろうし、そうではないグループに属しているなら韓国ファッションには興味を持たない。
そんなものである。

▽一過性のブームに過ぎない

ビジネス面で考えると、正確な統計は存在していないが、韓国ファッションブーム全体の売り上げ規模はそれほど大きくはなさそうだ。
原宿に旗艦店を出した韓国の大手ファッションブランド「スタイルナンダ」の売上高はブランド全体で150億円程度。
スタイルナンダはコスメのほうが人気なので衣料品だけだと100億もない。
また、私の知人に、日本に進出したうちの複数の韓国ファッションブランドのインターネット通販を手掛けている若者がいるが、その人は「個々のブランドの売上高は数億円レベルで、大きくても10数億円くらい。日本で展開されている韓国ブランドすべての売上高を合わせてもユニクロやジーユーの足元にも及ばないと思いますよ」と指摘している。

ファストファッションブランドのうち、H&MやZARAは欧米のトレンドを、ジーユーはそこに日本のトレンドをミックスして展開しているので幅広い年代に受け入れられて、マス層に支持を受けやすいと考えられる。
一方の韓国ファッションは欧米のトレンドは加味されているものの、韓国内のトレンドを再現しているので、日本のマス層には取り入れられにくいと考えられる。
個人的には今の韓国ファッションは日本のバブル期のカジュアルトレンドとよく似ていると感じるが、あの当時の日本はファッションブームが過熱しており、極言すれば「目立とう精神」が旺盛だったが、あれから30年が経過し、日本の消費者の嗜好は成熟化したといえる。

その成熟化した大人しめなファッションに生まれたときから囲まれている若い世代は、韓国ファッションが斬新に映るのかもしれない。
ファッションのトレンドは5年、10年ごとに変わっていくから、数年後には違うものが流行っているのではないだろうか。
だから今の韓国ファッションは一過性のブームで永続的ではないと見ている。

▽記事内容を一部引用しました。全文はソースでご覧下さい
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190918-00066972-gendaibiz-bus_all&;p=1