https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-49765564

太った人を馬鹿にすると体重は減るのか 「ファット・シェイミング」に批判集中

アメリカの有名コメディアンで司会者のビル・マー氏が、太った人の体型や体重をからかう「ファット・シェイミング」を支持し、議論になっている。これに対し、イギリス出身のコメディ俳優で司会者のジェイムス・コーデン氏が、「ファット・シェイミングはいじめだ」と反論。インターネットで大きな支持を集めた。

マー氏は13日に放送された米HBOのトーク番組「リアル・タイム・ウィズ・ビル・マー」で、アメリカの肥満問題に言及。肥満は生まれつきではなく、不健康で恥ずかしいことだと述べ、今こそ「ファット・シェイミングが戻ってくるときだ」と話した。

これを受けてコーデン氏は、米CBSの自分の番組「レイト・レイト・ショー」でこの話題に触れ、「ビル、ありがとう!」と、まず観客を笑わせてから、「誰かが反論しないと、公に発言する場所を持っていて、太っているのがどういうことか知っている誰かが、何か言わないと……ああ、それは自分か」と続けた。これに、スタジオの観客は大きな拍手を送った。

「太っている人間は、毎日いつでも自分が太っていることを自覚させられている」、「太った人間は怠け者だっていう、間違った思い込みがあるけど、僕たちは分かってるんです。太っているのは、自分にとって良くないことだって。僕もこれまでの人生でずっと、自分の体重をなんとかコントロールしようとしてきたし、それがものすごくへたくそなんです。うまく行く日もあれば、うまくいかない月もある」とコーデン氏は話した。

さらに、「覚えている限り常に、なんだかんだとダイエットを続けてきたけど……これがその成果です」と自分の体を示すと、また客席は歓声を送った。

「全員がビル・マーほど幸運じゃないんだ。全員が、1日3万5000カロリーも燃やすほどの優越感をもってるわけじゃない」とマー氏を皮肉ってから、「本心で思うけど、(マー氏は)厳しい愛情を差し出してるつもりになっているんだと思う。太った人に対して現実を砂糖がけしてごまかしたりしないことで、人助けをしてるつもりなんだと。太った人間がどれほど砂糖がけのものが大好きか、知ってるくせに」など、自分を含め太っている人を自嘲的に語りつつ、批判を重ねた。

「ファット・シェイミングでどうなるかというと、ただひとつだと証明されてる。相手に恥ずかしい思いをさせるだけだ。恥ずかしさはゆううつや不安、自傷行為を誘発する。自傷行為というと、たとえば過食とか」
「(ビル・マーの)あのクリップを観たあと、僕は冷凍庫を開けてアイスクリームのカートンをつかんでしまった。冗談だよ。観始めたときはすでにカートンを半分まで食べてた。でももしかすると、ビルのせいで最後まで食べきっちゃたかもしれない」

「ファット・シェイミングはただのいじめだ」と続けると、これもまた大歓声を浴びた。
「こういうことで、肥満の蔓延は解消しないと思う(中略)太った人を馬鹿にしてそれで体重が減るなら、学校には肥満児がいないはずだ」とも続け、最後に「(肥満は)自分が一生闘っていかなくてはならない問題だ」と認めた。

その上で、マー氏に向けて、「ほかの人に、自分の口に何を入れるかもっと考えるよう呼びかけるなら、自分の口から何が出てくるか、もうちょっとちゃんと考えてもらいたい」と促した。
(リンク先に続きあり)

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