https://wired.jp/special/2019/greta-thunberg-climate-crisis

未来のための金曜日 ──グレタ・トゥーンべリ16歳、大人に「おとしまえ」を求めてストライキ

125カ国で100万人以上の若者たちが参加した、「未来のための世界気候ストライキ」は、驚くほど日本では知られていない。ストックホルムに住む16歳のグレタ・トゥーンベリが、気候変動に対する政府の無策に抗議するために始めた学校ストライキは、SNSによって瞬く間に世界に拡散された。いま目の前で起こっている気候変動と一生を過ごすのは、まぎれもなく彼女たちの世代なのだ。世界のリーダーたちに「いま」アクションが必要だと呼びかける“子どもたち”の声は、大人たちにとってもはや無視できないものになっている。(雑誌『WIRED』日本版VOL.34より転載)

TEXT BY AMELIA TAIT
PHOTOGRAPHS BY AORTA
TRANSLATION BY YUMIKO UEHARA
2019.09.13 FRI 11:00

#FridaysForFuture、始動
グレタ・トゥーンベリがInstagramアプリをダウンロードしたのは、2018年6月のことだった。スウェーデンに住む彼女が最初に投稿したのは、飼っている救助犬ロキシーと自分の写真だ。Instagramで写真を公開する15歳の少女としては、ごくありふれた内容である。それでも、自家栽培のトマトや草原や湖を写した写真には、自然に対するトゥーンベリの熱意が垣間見えていた。事実、その1カ月前に、スウェーデンの日刊紙Svenska Dagbladetが主催した気候変動に関するエッセイコンテストで、彼女の作品が最優秀賞に選ばれている。

「わたしが望むのは、安全だという気持ちでいられることです」と彼女は書いている。「人類史上最悪の危機にあると知っていて、どうすればそんな気持ちでいられるというのでしょう?」。気候への負荷を減らすため、トゥーンベリは12歳で肉を食べるのをやめ、飛行機に乗るのをやめた。地球温暖化に対する不安が一因でうつ状態となり、学校に行かない時期もあった。18年の夏、スウェーデンに熱波と森林火災が拡がったときにも、強い危機感に苦しんだ。
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