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日本初のノーベル賞 湯川秀樹博士の写真2000枚を家族が寄贈
2019年9月22日 19時49分ノーベル賞

ことしは、日本人として初めて湯川秀樹博士がノーベル賞を受賞してから70年になります。この湯川秀樹博士のプライベートの写真2000枚余りが家族から京都大学に寄贈されたことが分かりました。写真の中には研究成果を説明するために初めて海外に渡航して高い評価を得て帰国した前後の家族写真があり、分析した専門家は「湯川博士の研究が世界に認められた時期が表情からも読み取れる貴重な史料だ」と話しています。

湯川秀樹博士は、最先端の素粒子物理学を欧米に留学することなく日本でほぼ独学で研究を重ね、原子核の中で働く力の1つが、中間子と名付けた新しい粒子で生じることを予言した「中間子論」を発表しました。

この理論は実験で正しいことが証明され、湯川博士は昭和24年にノーベル物理学賞に選ばれ、日本人としては初めてノーベル賞を受賞しました。

ことしは湯川博士の受賞から70年の節目となりますが、湯川博士のプライベートの写真2000枚余りが、家族から活動拠点だった京都大学に寄贈されたことが分かりました。

湯川博士の個人的な写真が大量に寄贈されるのは初めてで、36冊のアルバムに保管された写真は幼少期から晩年の様子まで網羅されています。

この中には、節目ごとに撮影された家族写真が含まれていて、このうち、ノーベル賞を受賞する10年前の昭和14年に撮影した2枚の家族写真は、湯川博士が初めて海外に渡航する直前と、帰国直後に撮影されています。

この海外渡航は、湯川博士が国際的な物理学の会議に招待されて、初めて「中間子論」を欧米の科学者に直接説明するためのもので、渡航前の写真では湯川博士の表情は遠くを見つめて引き締まり、緊張しているように見えます。

この海外渡航で湯川博士の理論は高く評価され、帰国直後の写真では、自信を得て穏やかな笑みを浮かべている湯川博士が写し出されています。

湯川博士の業績を研究している慶応大学名誉教授の小沼通二さんは「日本で独自に行った湯川博士の研究が世界に認められた時期が表情からも読み取れる貴重な史料だ」と指摘しています。

「世界で自信をつけた博士の心境がよく分かる」
(リンク先に続きあり)