愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」で公開中止になった企画展「表現の不自由展・その後」が、6日にも再公開されることになった。同県の大村秀章知事は「憲法21条の『表現の自由』は保障されるべきだ」と再開を受け入れたが、名古屋市の河村たかし市長は表現の自由にも「限度」はあるとして猛反対している。最大の焦点は、昭和天皇の写真をバーナーで焼いて灰を足で踏み付ける映像作品などに、税金を投入するかどうかだ。

 「とんでもない。暴力的ですよ。大変なことですよ」「昭和天皇の肖像を焼いて、足で踏み付けるもの(作品)を、補助金を出して、名古屋市の名前で、愛知県の名前で再開するのか」「天皇陛下に敬意を払おうと思う、多くの人たちの表現の自由はどうなるのか?」

 河村氏は9月30日の記者会見で、こう語った。

 注目の不自由展が、公開中止前と展示内容を変えないで、公の場で再公開されることを問題視したのだ。「公共の福祉」に反する権利濫用を禁じた憲法第12条を踏まえた発言といえる。

録画出演した同日夜のBS日テレ番組「深層NEWS」でも、河村氏は「展示を公共事業でやるのに、私には『全体の奉仕者』として、それ相応の人たちが『そりゃ、そうだわな』というものにする務めがある」と怒りは収まらなかった。

 これに対し、大村氏は同番組で「憲法上の公権力者の首長が、表現や芸術などの内容について、これが良いとか悪いとかは、絶対に言ってはいけない」と発言した。

 不自由展では、昭和天皇に関する作品以外にも、慰安婦像とされる少女像や、英霊を冒涜(ぼうとく)するように感じる作品も並んでいた。これらを、税金を使って公開するのか。

 ジャーナリストの有本香氏は「大村氏は『検閲』という言葉を振り回すが、関係ない。(納税者である)国民が展示に違和感を持つのは当然だ。メディアが、この問題を『表現の自由』に置き換えて報道する姿勢にも、強い違和感がある。昭和天皇の写真をバーナーで焼いて灰を足で踏み付けるような映像作品を、テレビなどは頑として報道しない。反発が出ることを分かっているからだろう。多くの国民の違和感はむしろそこにある。それを報じずに、『表現の自由』というのは、メディアそのものが不自由に陥っているのではないか」と語っている。

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