延暦寺(天台宗総本山、大津市)の大書院でこのほど、企画展「ゲゲゲの鬼太郎と比叡山の七不思議」が始まった。大書院は近代日本を代表する建築家・武田五一の設計で知られ、一般公開は初めて。比叡山に伝わる妖怪と漫画「ゲゲゲの鬼太郎」を組み合わせた斬新な日本画が来場者を楽しませている。
天台宗の宗祖最澄(伝教大師)の1200年遠忌に合わせた事業。日本画制作を手掛ける工房「豊和堂」(京都市上京区)が、比叡山に伝わる「七不思議」の伝説を基にした掛け軸など8点を制作した。
怠ける僧を戒める一つ目小僧は、修行道場「総持坊(そうじぼう)」の玄関に古くから掲げられている絵を参照して描かれた。酒を飲んだり寝そべったりしている鬼太郎とねずみ男を一つ目小僧がじっと見つめる構図で、恐ろしさのなかにもどことなくユーモラスな風情を醸す。信長が比叡山を焼き討ちした時に大講堂の鐘をたたき非常を知らせた「なすび婆(ばばあ)」の絵もあり、延暦寺の今出川行戒参拝部長は「子どものころから聞かされていた伝説が作品となったのは感慨深い。比叡山の奥深さに触れてほしい」と話す。
大書院は、たばこで財をなした京都の実業家村井吉兵衛の東京・赤坂にあった邸宅の一部。1921年に完成し、28年に比叡山に移築された。二条城の黒書院の様式を移した「旭光(きょっこう)の間」や総ヒノキ造りの玄関など、当時の日本の最高の建築技術を駆使したとされている。
12日から開催予定だったが、台風接近に伴い13日が初日となった。12月8日まで。中学生以上千円。午前10時〜午後4時(受け付けは午後3時半まで)。11月1日から5日は休館。
比叡山の「三大魔所」と呼ばれる場所に迷い込んだ鬼太郎たちを描いた屏風(大津市・延暦寺大書院、11日の内覧会で撮影)
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2019年10月16日 10:00 京都新聞