https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191017/k10012135411000.html


「登山者検診」で安全な登山を
2019年10月17日 0時19分

山では紅葉が始まり秋の登山シーズンに入りましたが中高年登山者の遭難数は年々増え続けています。中には病気が原因で遭難するケースもあることから、長野県内の病院では専門に登山者の健康診断を行うことで安全な登山を呼びかけています。

警察庁の統計では去年1年間に全国の山で遭難した人は3129人と統計が残る昭和36年以降で最も多くなりました。

遭難した人を年代別にみると、およそ8割が40代以上の中高年登山者でした。

こうした中、長野県松本市の病院では遭難を防ぐ新たな取り組みを始めました。

登山者の健康状態を事前に診断する「登山者検診」です。

検診では、自転車型の医療機器をこいで登山中と同様の負荷が体にかかった状態を再現します。

運動中の血圧や心拍数などを計測して体に無理のない歩行のペースを調べます。

また、心臓や肺の機能も検査して隠れた病気がないか確認します。

長野県の調査では、山岳遭難で亡くなった人のうちおよそ2割が心疾患による突然死でした。

山の上は酸素が薄かったり気温の変化も大きく、自分でも気がつかないうちに体に大きな負担がかかって、心筋梗塞などの危険性が高まると指摘されています。

山岳医療を専門とする松本協立病院の市川智英医師は「高血圧や糖尿病なども軽く考えていると山では大きな病気につながることがあります。中高年の登山者は登山者検診を受診して、自分の体についてよく理解したうえで安全に山に登ってほしい」と話していました。

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