楽天トラベルが今秋発表した「2019年 秋の国内旅行 都道府県別人気上昇ランキング」で第1位が香川県、第2位が高知県と、四国の2つの県が上位2位を独占した。
このランキングは、今年10月から11月の国内旅行の予約人泊数(予約人数×泊数)の伸び率が高い都道府県のランキングで、香川県が45.9 %増、高知県が39.0 %増となった。

これほどまでに四国への宿泊者数がこれまで以上に急増したのはなぜか。その要因について考えてみた。

「瀬戸内国際芸術祭」が索引
香川県が飛躍的に伸びた理由の1つが、直島や小豆島など瀬戸内海の現代アート。
この現代アートを目当てに、日本人に加えて世界中からわざわざ訪れる場所になったのだ。

直島/Photo by gettyimages

外国人観光客を呼び寄せるきっかけになったのが、3年に1度のペースで開催される「瀬戸内国際芸術祭」だ。瀬戸内海の12の島々と2つの港で開催され、
「海の復権」をテーマに掲げ、美しい自然と人間が交錯し交響してきた瀬戸内の島々に活力を取り戻し、瀬戸内が地球上のすべての地域の「希望の海」となることを目指したイベントとして期間中は多くの人が訪れている。

今年(2019年)は開催の年になっており、4回目となる今年は、春・夏・秋それぞれ約1ヵ月間開催され、今年の秋でいえば9月28日〜11月4日までの38日間の日程で開催されていた。
この期間は世界的アーティストの作品も展示されるなど、日本にいながらも海外にいるかのように錯覚してしまうほどだ。

連泊が多いのは「島」のおかげ
この瀬戸内国際芸術祭を目当てに海外から日本を訪れる観光客が増えており、宿泊者数の増加に結びついているが、「島」というのが1つのキーポイントとなる。

このイベントを目当てに訪れる外国人は、できる限り多くの島を巡りたいと思っている。島と島との移動も必要になることから1〜2日で廻るのは難しく、
3泊以上する外国人観光客が多く、中には1週間以上滞在する外国人も珍しくない。また日本人も1泊ではなく2泊以上することが多く、特に多くの島との航路がある高松市内に滞在し、毎日異なる島を巡ることも多い。

交通アクセスの利便性が良すぎると宿泊せずに日帰りが中心となってしまうが、船で移動しなければならない分、現地での滞在時間を確保する為にも宿泊しながら巡ることが多い。
宿泊してでも日数をかけて楽しめる魅力があると言える。

もちろん、従来通り讃岐うどん巡りや琴平などの定番スポットを楽しむ観光客も多い。
最近、一部観光地では、観光客は訪れるが宿泊をせずに日帰りで帰ってしまう場所も多いなかで、宿泊が前提で訪れるスタイルを確立した意義は大きい。

芸術祭を訪れる日本人観光客も回を重ねるごとに増加傾向で、特に女性のグループ旅が増えている。
オシャレな国際芸術祭自体が瀬戸内、更には四国のイメージアップに貢献していることは間違いない。今では3年に1度、必ず訪れるリピーターも増えていると共に、
このエリアに、オシャレな宿泊施設が増えていることも追い風となっている。女性のグループ旅が増えているのも納得だ。

瀬戸内国際芸術祭開催期間中は特に観光客が増えるが、それ以外の時期でも以前に比べると豆直や小豆島を中心に観光客全体が増加している。
1つの島だけでなく、瀬戸内の各島が一体となって観光客誘致に取り組んだ結果であり、広域連携のモデルとしては他の観光地も学ぶべきことは多いだろう。

https://news.livedoor.com/article/detail/17322101/
2019年11月2日 5時0分 現代ビジネス