昨年の7月に南天全域の観測を終え、北天の観測を行っているNASAの系外惑星探査衛星「TESS」。先日もその観測データから地球サイズの太陽系外惑星が見つかったことをお伝えしましたが、今度は2つの恒星を周回する系外惑星(周連星惑星)が見つかったとの研究成果が発表されています。
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■明るさが変わる食連星の観測データから系外惑星の証拠を発見

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TESSは系外惑星が恒星の手前を横切るトランジット現象を起こしたときのわずかな明るさの変化をキャッチする方法を利用しています。ところが食連星の場合、小さいほうの恒星が大きいほうの恒星を横切るときにも、同じように明るさがわずかに暗くなります。

また、TOI 1338 bが大きいほうの恒星を横切ったときの明るさの変化はTESSによって検出されましたが、小さいほうの恒星を横切った際の変化はごくわずかであるためにキャッチできませんでした。そのため、TOI 1338では「系外惑星による明るさの変化」が「食連星としての明るさの変化」に紛れ込むような形で観測されたことになります。

Kostov氏は、TOI 1338で観測されたような明るさの変化のパターンから自動的に系外惑星を発見するのは、まだまだ難しいとしています。「非周期的なパターンを見つけるのが得意な人間の目」(Kostov氏)で観測データを複数回チェックしたことが、今回の発見につながったと言えます。

2018年に観測を終えた宇宙望遠鏡「ケプラー」は、10の連星系から合計12個の周連星惑星を発見しました。TESSによって見つかった周連星惑星はTOI 1338 bが初めてですが、全天を対象としたTESSのミッションでは、数十万の食連星が観測対象に含まれるとされています。

映画「スター・ウォーズ」シリーズの舞台のひとつである双子の太陽を持つ惑星「タトゥイーン」に例えられる周連星惑星は、今後さらに発見例が相次ぐかもしれません。

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https://sorae.info/astronomy/20200111-tess.html