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一方、海外市場に目を向けると、時代劇は花盛りである。既成概念を超えた進化系の時代劇が各国で作られ、ヒットを飛ばしている。はたしてそこに日本の時代劇復活の答えはあるのか。
■世界では「時代劇」が人気
「鬼平犯科帳」「暴れん坊将軍」「必殺」といった時代劇シリーズが、かつて民放でもレギュラー枠で放送されていたが、1990年代以降、衰退の一途をたどっている。放送枠は限られ、地上波、BS・CSも含めて制作される時代劇の新作本数は年間で数本程度になっている。
懐かしのシリーズをうたって、過去のリピート放送でつないでいる状態である。現代ドラマは「医療」「刑事」「職業もの」「恋愛」「サスペンス」など人気ジャンルに集中しがちだが、民放各局がそろって毎クール欠かさず大量の新作を投じている状況とは対照的である。
かたや海外市場に目を向けると、ドラマのトレンドに実は「時代劇」が数多く並んでいる。
時代劇ドラマは総じて「コスチュームドラマ」と呼ばれ、定義づけにこだわらないものが増えている。時代考証はもとより時代設定すら曖昧なものでも古代、中世の衣装をまとった登場人物で構成されている作品は「コスチュームドラマ」にジャンル入りする。
例えば、世界的に大ヒットしたアメリカの『ゲーム・オブ・スローンズ』も厳密にいえばカテゴリーは「ファンタジー」だが、コスチュームドラマとしても扱われている。
各国を代表するヒット作に時代劇ドラマが並んでいることも注目されている理由の1つにある。日本でも人気を得たインドの『バーフバリ』シリーズもその1つだ。世界のドラマ市場を席巻しているトルコも時代劇ドラマの代表作に『オスマン帝国外伝』がある。
イギリスBBCも新作に時代劇シリーズを積極的に投入し、『女王ヴィクトリア 愛に生きる』などが世界ヒットを飛ばしている。若年層を取り込むNetflixにも歴史・時代劇のカテゴリーに並ぶ作品が豊富にそろっている。
フランス・カンヌで昨年10月に開かれた、世界最大のテレビ見本市「MIPCOM2019」の会場でも、注目トレンドとして時代劇をフォーカスしたセッションが組まれていた。
そのなかで、「なぜ人気?」と、そもそもの人気の理由についてがテーマに上った。登壇者の1人、欧州の有料チャンネル「VIASAT WORLD」のヴァイスプレジデントKarin Heijink氏は「視聴者ニーズ」を要因に挙げ、「5年ぐらい前までは定義づけが狭かったが、時代劇にも新たなオルタナティブ作品を求める声が視聴者から次第に集まり、それに応えた新作が増えていった。その中からヒット作が生まれている」と答えていた。
またこのほか、時代設定が古代であろうが中世であろうが「現代的な強い女性像」を描いていることも支持されている理由に上った。その結果、視聴者のターゲット層は現代ドラマと変わらず、若年層からシニア層まで男女共に幅広く取り込み、時代劇ファンを増やしている。
■海外では新機軸の時代劇が新たなファンを獲得
実はこのカンヌのセッションの登壇者の1人に、日本の「時代劇専門チャンネル」を運営する日本映画放送の杉田成道社長も並んでいた。
MIPCOM2019の公式ワールドプレミア上映作品にアジアで唯一、同チャンネルのオリジナル時代劇第20弾の作品『帰郷』が選ばれ、国際コンテンツ市場の場で日本の時代劇がフォーカスされたからだ。
杉田社長は『帰郷』の監督・脚本も務めた立場から、藤沢周平作品を原作に「自然と人々の共存」や「人間の死生観」を見つめた普遍的なテーマであることや、売りの1つである8K制作作品としての見どころを語りながら、「日本の時代劇をまずは知ってもらおう」とそんな心意気も垣間見えた。
日本で初めてMIPCOM2019公式ワールドプレミア上映作品に選出されるに至った背景を杉田社長に直接尋ねると、次のような答えが聞けた。
「新聞社や出版社なども入り、20社を数えるパートナーが集まり、時代劇を今後、どのように展開していくべきか。そんな想いから作られた作品になる。パートナーの1社であるカンテレから声をかけてもらったことをきっかけに、訪れることができた。海外展開については入り口の段階にすぎないが、思った以上に注目してもらった。日本の時代劇にはまだまだ可能性が広がっていると実感している」
(続きはソースにて)
1/23(木) 6:20
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200123-00326064-toyo-soci&p=1