0001ごまカンパチ ★
2020/01/25(土) 09:09:15.84ID:hmjjRDiK9長年、国際的な薬物政策では、3つの国際条約を基盤とする薬物統制システムと、国連エイズ合同プログラムの現場の声としての人権擁護システムが
お互いの目的のために矛盾した取組みをしていました。前者は懲罰的アプローチ、後者は公衆衛生アプローチと呼ばれています。
しかし、2001年以降、国連システム内の決議や政治宣言で、人権擁護と健康対策に焦点を当てた公衆衛生アプローチに変化してきました。
国際薬物政策コンソーシアム(IDPC)は、この一連の30年間の動きを詳細に概説した「国連薬物政策における共通の立場―システム全体の一貫性の統合」というレポートを
2019年12月に公表しました。
日本臨床カンナビノイド学会(新垣実理事長)では、国際薬物政策の歴史がわかる本レポートの和訳を本日公表しました。
「国連薬物政策における共通の立場―システム全体の一貫性の統合」の概要ポイント
・国連システム全体の一貫性をさらに高め、包括的な持続可能な開発目標(SDG)の枠組みとの整合性は、薬物政策の分野において特に困難な課題であった。
・1990年代に「薬物戦争」が激化したため、健康、人権、平和構築、開発に焦点を当てた国連機関は、議論を呼んでいる薬物統制やウィーンでの議論から距離を置き、
世界保健機関(WHO)の場合は、沈黙を強いられた。
・国連薬物特別総会(UNGASS2016)のプロセスは、議論を広げ、健康、持続可能な開発、人権、平和構築の観点から薬物問題に取り組む国連機関を含め、
グローバルな薬物統制戦略に関して国連システム全体の一貫性を促進する機会となった。
・国連システム事務局長調整委員会(CEB)が2018年11月に採択した国連の薬物政策に関するシステム共通の立場は、
「2030年持続可能な開発のためのアジェンダの枠組みの中で、真にバランスのとれた、包括的、統合された、科学的根拠に基づく、人権に基づく、開発志向の、
持続可能な開発し実施する加盟国を支援する」ことを約束している。
・2009年のウィーン合意は破られ、緊張が高まり、ある種の薬物統制の実施と、健康増進、社会正義、持続可能な開発、人間開発という包括的な目的との間の矛盾が
明らかになりつつある。そのいくつかは、国連薬物統制システムと国連人権システムとの間の矛盾した目的に根ざしている。
・国連の共通の立場とタスクチームは、国連機関に前例のない権威ある指針を提供し、現在の国際的な薬物統制を21世紀に向けて、現場では新しい常駐調整官制度を通して、
また、世界的なレベルで導くことができ、縦割りアプローチを克服するために苦労して勝ち取った成果である。
・加盟国は、タスクチームの作業を支援し、国連総会、経済社会理事会(ECOSOC)、世界保健総会(AHA)、国連人権理事会(HRC)を含む他の国連フォーラムの議題に
薬物関連問題を含めることを促進する必要がある。また、国連薬物犯罪事務所(UNODC)を含むすべての関連国連機関が、国連の共通の立場を積極的に推進することを確保する。
本レポートの和訳全文のPDFファイルはこちらからダウンロードできます。
http://cannabis.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=100115
本学会がテーマとするカンナビノイド及び大麻については、下記のように指摘しています。
「ますます多くの国が大麻への対応において異なる道を選択しているという現実に起因する深刻化する(政策の)格差をどのように解決するかは全く明らかではなく、
この傾向は国連薬物統制システムの根幹そのものを揺るがしている。(省略)条約の構造的な欠陥や、いまだに条約に組み込まれている植民地時代の遺産についての率直な意見は、
今日まで遮断されている。」
本学会は、大麻草およびカンナビノイドに関する専門学会ですが、国際的な薬物政策の影響が大きいテーマであるため、今後もこのような世界情勢についての有益な資料の
和訳および紹介に努めていきます。
※続きはソースで