よく「倍々ゲームで感染者が増加」と言いふらす人がいるが、
そういう状況は感染拡大のほんの初期にしか見られない。
なぜなら、ひとつには都会人の生活では、実は移動する範囲が極めて限られているからだ。

東京で言えば、町田市で集団感染が起こったとしても、港区に広がる可能性は小さい。
港区民が町田くんだりまで出かけて行ったりはしないから。
一生、町田には足を踏み入れない港区民も多いだろう。

また、ウイルス感染症の流行は「大多数が免疫を獲得する」により終息するので、
ある一地域で集団感染が発生すると、その地域で免疫を獲得する人もまた爆発的に増える。
そうすると「免疫がない人が感染者の近くにいない」状況に、すぐになってしまう。
コロナウイルス肺炎やインフルのような感染力が強い感染症の一日の発症者数を見ていると、
だいたい1か月もしないうちに(典型的には2週間くらいで)、
急ブレーキがかかったように収まってくる。

ベッド数の不足で、かなりの重症にならないと入院できなかった武漢市でさえ、
9割の患者は全快して退院している。
軽症で、入院するまでもなく治った人もまた多い。
そのため、免疫を獲得した人が多くなり、
すでに報告されているような「一日の発症者数の急減速」が起こったというわけだ。

あまり安心しきってもいけないが、無知な人の「倍々ゲーム」デマに乗って慌てふためき、
自分までそのデマをまき散らすのは最悪の行動だ。