何年か前にノルウェーの航空会社が出品した「日本人」というCMがカンヌ国際広告賞で金賞を取った。
日本人乗客がおしぼりの何かを知らず食べようとして注意され、今度は出されたケーキをオシボリと間違えてケーキで顔をふいてしまい、といった内容で審査会場は大爆笑、日本の審査員をふくめ全会一致で金賞が決まったということがあった。
だが実はオシボリは日本航空が世界に普及させたサービスだった。ノルウェー人はそのことを知らずオシボリを自分たちのサービス文化だとPRして、本家本元の日本人がオシボリを知らない国民というCMを作ってしまった。
ノルウェー人は、つい前世紀まで手づかみで食事をし、手鼻をかんでいた。風呂にも入らずシャワーは1週間に1回程度、トイレに入った後手も洗わないというのがノルウェー人。オシボリなんて風習は発想すらない。
問題はそれ以上に「日本人」というタイトルである。明らかに日本人を間違ったイメージでステレオタイプ化し、メガネに出っ歯、カメラを下げて、の旧来のイメージを土台に、あか抜けないどじぶりを付け加えてみました、という意図がありありの作品だった。