新型コロナウイルスの感染リスクを懸念し、全国の「こども食堂」が開催を中止する動きが広まっている。中止、開催。民間の運営によって支えられる活動は、どのような判断も尊重されるべき。しかし、中止すれば困る子どもや家庭が出てくることも確かだ。

●次々に発表される「こども食堂開催中止」

こども食堂の運営団体はホームページやSNSで開催中止のお知らせを発表している。2月中旬からその動きが目立つようになり、2月?3月いっぱいの開催中止を決定、4月以降については状況を見て判断するというところが多いようだ。

全国のこども食堂の連絡会の役割を持つ「こども食堂ネットワーク」では、地域ごとのネットワーク・連絡会と情報を共有している。新型コロナの報道が加熱し始める前から、各地域でこども食堂の継続・中止が議論されてきたという。

●全国で約1850軒のこども食堂がお休みに?

こども食堂ネットワークの事務局長・釜池雄高さんは「正確な数値のまとめはできていませんが、全国に約3700軒あるこども食堂のうち、開催継続・中止決定が今(2月26日時点)の段階で半々くらい。今後、中止側が増えていく印象です」と話す。およそ1850軒のこども食堂がすでに休止を決め、それは1か月以上続くということだ。

「大原則ですが、自治体が運営するこども食堂はありません。こども食堂(団体)は一軒一軒が独立して存在しています。我々のネットワークから判断しろと命令できませんし、最終的には個別の団体運営者が判断することです。どんな判断でも尊重します。

また、中止にした方がよいととらえられることは困ります。中止の連鎖を誘うこともしたくありません」(釜池さん)

それぞれが民間の団体であるとはいえ、地域の小学校や自治体と連携している。感染対策のため、中止の検討を要請する自治体もある。

●自治体の判断「コロナの対策を優先しました」

たとえば、東京都狛江市が連携するこども食堂はすべて中止を決めた。「狛江市はこども食堂運営団体と連携しており、6団体すべてが直近の開催を中止しました。感染者を出さないために市から電話やメールで中止を求める検討を要請し、最終的には団体の判断になります」(狛江市の児童青少年部子育て支援課)

東京都目黒区でも感染リスク対策として、中止・自粛要請を出した。「区が後援するこども食堂の2つの運営団体には、コロナウイルスの感染リスク対策として中止・自粛要請を2月21日ころから出しました。1団体は中止を決め、もう1団体は検討中です」(目黒区の子育て支援課子育て支援推進係)

こども食堂に替わる食事提供のサービスはあるのだろうか? 

狛江市の子育て支援課は「把握しているものは子ども食堂だけになります」と話す。では、どうしても食事が必要な家庭はどこに行けばいいのだろう。「コロナの対策を優先しました。お答えできません」(同課)。冷たい決断のように聞こえるが、生命の危険を回避するためには仕方のないことかもしれない。

●中止を決めたこども食堂の考え

中止を決めた埼玉県のこども食堂を運営する社会福祉法人では「台風直撃によって中止したことはあったが、ウイルス関連での中止は初めてです。月に2回開催しており、1回につき30人の親子が来ます。やはりマスクをつけて食事はできないので、感染リスクを懸念しました」。担当者は「どこのこども食堂か書かないでください」と話した。中止した申し訳なさがあるのだろうか。

釜池さんは、こども食堂の大きな目的・役割は「貧困対策」と「地域交流の拠点」の2つだと話す。どちらに比重を置くかは各団体や地域事情で異なる。「交流を重視する団体は休止しやすい印象がある」という。先の社会福祉法人のこども食堂も月に2回の開催であり、中止によって深刻な影響はすぐさまには生じないだろう。

以下ソース先で

●小学生が「やめられたら困るよ」、続けることを決めた

●「困る家庭、行き場のない子も出てくると思います」

●「貧困の子や親が、餓死してしまうことも考えられる」

2020年02月27日 18時10分
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