毎日新聞2020年3月5日 19時00分(最終更新 3月5日 19時01分)
https://mainichi.jp/articles/20200305/k00/00m/040/212000c
高血圧の治療薬「カルバン錠」を巡りカルテルを結んだとして、公正取引委員会は5日、独占禁止法違反(不当な取引制限)で鳥居薬品(東京都中央区)に287万円の課徴金納付を命じた。先発薬(新薬)のカルテルを巡る違反認定は初めて。
再発防止を求める排除措置命令も出した。同時に立ち入りを受けた日本ケミファ(東京都千代田区)の違反も認定したものの、違反の事前申告で命令は免れた。
遅くとも2014年3月から5年近くにわたり、価格を下げないように調整していた。利益確保のほか、病院への納入価格を参考に決める薬価改定への影響も狙ったという。
鳥居薬品は日本ケミファが製造した商品を仕入れ、自社ブランドとして販売していた。このため、独禁法が禁じる価格調整に当たると判断した一方で、課徴金の算定率は卸売業に対するものを適用した。
中堅の製薬会社では、複数社でお互いに薬品を仕入れたり製造委託して自社で発売したりする「併売」があり、公取委は価格調整の温床になりかねないとして注視している。【渡辺暢】