「今回、自殺した財務省職員の遺書や手記が公開されることを、官邸は1週間ほど前から把握していました。そもそも遺書や手記の存在は自殺直後から知っていて、警察や検察の捜査の過程でほぼ内容を掴んでいましたが、まだほかにも“隠し玉”があるのではないかと戦々恐々としていた。公開された内容の切実さに国民は衝撃を受けていますが、官邸は“これなら乗り切れる”と高を括っている様子です」(自民党関係者)

 3月18日発売の『週刊文春』に衝撃的なタイトルの特集記事が掲載された。

《森友自殺財務省職員 遺書全文公開「すべて佐川局長の指示です」》

 森友学園問題に関する財務省の公文書改ざんをめぐり、2018年3月7日に自殺した財務省近畿財務局職員・赤木俊夫さん(享年54)の秘められていた遺書を全文公開した記事は、大きな反響を呼び、同誌はほぼ完売したという。

 遺書で赤木さんは、財務省の佐川宣寿理財局長(当時)が文書改ざんの指示を出し、ほかの幹部も文書改ざんに関与したと暴露した。

《森友問題 佐川理財局長(パワハラ官僚)の強硬な国会対応がこれほど社会問題を招き、それにNOを誰れもいわない これが財務省官僚王国 最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ、手がふるえる、恐い 命 大切な命 終止府》(原文ママ)

 遺書の公開と同時に赤木さんの妻は国と佐川氏を相手取り、1億1000万円余りの損害賠償を求める訴えを起こした。

 赤木さんの仕事ぶりはごく真面目で、「ぼくの契約相手は国民です」が口癖だった。その実直な公務員の魂の叫びに、安倍政権は冷淡だった。

 遺書公開直後の3月19日、安倍晋三首相(65才)と麻生太郎財務相(79才)が国会で再調査を拒否する姿勢を示した。23日にも安倍首相は「事実は明らかにした。検察がしっかりと捜査した結果がすでに出ている」と再調査を改めて拒否している。

 直後に赤木さんの妻は代理人弁護士を通じ、「夫の遺志がないがしろにされ、許せない。再調査してほしい」とコメントを公表。「安倍首相らは調査される側で、再調査しないと発言する立場ではない」と強く批判した。

もう1人、この問題に深くかかわった人物がいる。安倍首相夫人の昭恵さん(57才)だ。詳しくは後述するが、そもそも国を揺るがせた森友問題も、それをごまかすための文書改ざんも、引き金を引いたのは昭恵さんだ。

「昭恵さんも赤木さんの遺書の存在は知っていました。官邸と同じく、おおよその内容は把握していたので、初めて知る事実も少なく、特別な反応は示していません。そもそも昭恵さんは、自身が招いた森友問題の最初から、スタンスは何も変わっていません。“私は何か悪いことをしたでしょうか。夫のためを思って、よかれと思ってやっただけのことです。私は被害者なんです”―そういう主張なので、もう何が起きても一緒なのです」(安倍家の関係者)

 実は、今回の遺書公開の数か月前、赤木さんの妻が発した悲痛なメッセージは昭恵さんに届けられていた。ただ、それを聞いても昭恵さんは、「どうしたらいいですかね」と繰り返すばかりで、“打てど響かず”の状態だったという。

◆赤木さんの上司が自殺するかもしれない

「昨年10月、赤木さんの奥さんから相談を受け、その内容を昭恵さんに伝えました」

 そう語るのは、昭恵さんと赤木さんの妻の双方を知る政界関係者だ。

「赤木さんの自殺後も奥さんは夫の職場(財務省)を信じていて、遺書を公開しようとは思っていませんでした。しかしその後、財務省関係者の態度に違和感を持った奥さんは、次第に不信感を募らせていき、遺書の公開と提訴にいたりました。

 その過程で奥さんは、赤木さんの直属の上司だったAさんも相当に追いつめられていて、もしかして自殺するかもしれないという情報を知り、私に連絡してきたんです」

 赤木さんの妻から連絡を受けたその関係者は、旧知の仲の昭恵さんに内容を伝えた。

「昭恵さんに“赤木さんの上司だったかたが自殺するかもしれません”と伝えたのは、赤木さんの奥さんから相談された昨年の10月頃です。

 それを聞いた昭恵さんは、“どうしたらいいでしょう”と言うばかりで何もしようとしませんでした。それからというもの、一切の連絡はありません」(前出・政界関係者)

3/26(木) 7:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200326-00000005-pseven-soci
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