「供述弱者の冤罪」をどう評価するか 湖東記念病院事件再審、無罪へ 西山さんの胸中は
毎日新聞 2020年3月28日 22時27分(最終更新 3月28日 23時05分)
https://mainichi.jp/articles/20200328/k00/00m/040/174000c

 滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年に入院患者の人工呼吸器を外して殺害したとして、殺人罪で懲役12年が確定し服役した元看護助手、西山美香さん(40)の再審(やり直しの裁判)は31日、大津地裁で無罪判決が言い渡される見通しだ。弁護側は軽度の知的障害などがある西山さんが、十分な供述ができない「供述弱者」だと主張してきた。地裁が供述弱者の自白の評価について、判決でどう言及するかが注目される。

 「供述弱者が冤罪(えんざい)に巻き込まれるリスクは相対的に高い」。12年に始まった第2次再審請求中の17年4月、弁護団の依頼で西山さんの精神鑑定をし「軽度の知的障害や発達障害の傾向がある」と診断した心療内科の小出将則医師(58)=愛知県一宮市=はそう話す。

 小出医師の鑑定は、有罪の根拠となった「人工呼吸器のチューブを外して殺害した」という自白の信頼性を揺るがす一因となった。17年に再審開始決定を出した大阪高裁は「自らの体験を供述しているか疑わしい」と判断し、西山さんが好意を抱いた警察官らの誘導に迎合して述べた「虚偽の自白」の疑いがあると指摘した。

 小出医師は西山さんについて、自分の置かれた状況をイ…

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