イタリアは新型コロナウイルス感染(COVID19)の症状が軽い患者に、自宅での隔離生活を指示するのではなく、集団隔離施設に移すべきだと、欧州各国を歴訪した中国の専門家チームが助言した。

四川大学華西医院呼吸科の梁宗安主任は、武漢の医師たちも感染拡大の初期に同じ誤りを犯したと指摘。当時は武漢の医療施設にかかっていた過剰な負担を軽減する目的もあり、症状が重い患者は病院に入院させる一方、症状が軽い患者には自宅での隔離生活を指示していたという。

研究者らによると、自宅隔離では家族への感染防止を徹底しないばかりか、自由に外出を続けて外で第三者にうつすことも多い。イタリア紙コリエレ・デラ・セラが30日報じたところによると、同国当局が28日に外出禁止の取り締まりを強化したところ、違反者のうち約50人が自宅隔離を指示された感染者だった。

武漢では2月初めにオフィスやスタジアム、体育館を転用した仮設病院に症状の軽い患者を全て隔離し始めてから、感染拡大が劇的に鈍化した。中国国外でパンデミック(世界的な大流行)が加速する中でも、公式統計によれば武漢では新たな感染例がほとんど現れず、封じ込めに成功している。

梁主任によれば同主任のチームは、中国に倣い症状の軽い患者を強制的に施設に隔離するようイタリアに助言した。今回のチームの一員である中国疾病対策予防センター(中国CDC)の研究員、肖寧氏によると、中国のある省の調査では、集団感染の80%が自宅隔離を指示された患者を感染源とするものだった。

肖氏は「それぞれの国で独自の制度があるため、イタリアの自宅隔離が正しいとか間違っているとかは言えないが、われわれはいくつかの問題を把握した」と指摘。チームが協議したイタリアの専門家は、どれだけの数の集団感染が自宅隔離の患者から発生したか言及できなかったと梁主任は述べた。

2020年3月31日 3:04 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-03-30/Q80H0NDWX2QP01