新型コロナウイルスの感染者の急増に備えて、兵庫県が軽症の感染者の受け入れ先としているホテルを専門家が視察し、感染防止策を検討しました。

兵庫県は、治療が必要な新型コロナウイルスの感染者の病床を確保するため、軽症や症状がない人については、来週にも県が確保した宿泊施設に移して療養してもらうことを決めています。
このうち、姫路市にある「ホテルリブマックス姫路市役所前」には、9日、兵庫県の専門家会議の座長を務める神戸大学の荒川創一客員教授ら10人が視察に訪れました。
このホテルでは78あるすべての部屋を有償で提供し、従業員も、医師や看護師とともに常駐して、食事の手配や館内の清掃などを行う見込みだということです。
荒川教授ら一行は、患者が行き来し、感染リスクが高い区域と、安全な区域を分ける「ゾーニング」を行うため、図面を見ながら館内の動線を確認するなどしていました。
兵庫県は、視察の結果をもとに専門家の意見を聞きながら、施設内での感染防止策をまとめ、準備を進めることにしています。
荒川教授は、「ホテル内でも『ゾーニング』はでき、患者の収容は可能だと実感した。従業員は危険な区域に配置させないなど感染防止対策を早急に詰め、準備を進めたい」と話していました。
ホテルの運営会社の南垣内淳執行役員は、「全国の都市部が危機的な状況となる中、宿泊業として協力したいと考えた。従業員の安全を第一に、専門家の指示のもと感染予防に努める」と話していました。

【JICA関西も貸し出し】
このほか、兵庫県内の軽症者の受け入れ先として、神戸市中央区にある「JICA=(じゃいか)国際協力機構関西センター」が研修施設の宿泊所の提供を決めました。
JICA関西の研修施設の宿泊所は、個室が96部屋があり、ビジネスホテルのようにベッドや机のほか、手洗いや浴槽が室内に設置されています。
JICA関西の職員は、同じ建物内で勤務を続けるということで、JICA関西の佐藤睦次長はNHKの取材に対し、「同じ公的機関として、協力したいと考えた。多くの職員は在宅勤務に切り替え、職場にいる人は少ないが、職員の安全を守るため、健康管理をより徹底し、感染予防に努めたい」と話していました。

【ニチイ学館施設も貸し出し】
神戸市は、軽症者の受け入れ先として、神戸市中央区にある「ニチイ学館ポートアイランドセンター」の宿泊棟を確保したと発表しました。
100人分が確保でき、11日から受け入れを始めるということです。

04月09日 18時05分
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20200409/2020007369.html