長崎港に停泊中のイタリア船籍「コスタ・アトランチカ」で乗員48人の新型コロナウイルス感染が明らかになるなど各国のクルーズ船で集団感染が相次いでいることを受け、日本政府は国際法上、入港国、船籍国(旗国)、船会社などの対応責任が不明確な現状を打開する国際的な制度について、調査・研究を始める。

 2〜3月に横浜港に停泊した「ダイヤモンド・プリンセス」は米国企業が運航する英国船籍のクルーズ船。約3700人(56カ国・地域)の乗員・乗客のうち700人以上が感染したが、クルーズ船での新型感染症の集団感染は「世界初」で、責任を明確に規定した既存の国際法がない。船舶は公海上では旗国の主権下にあり、運航中の船内の公衆衛生は運航会社や船長が責任を持つが、今回は入港を認めた日本政府が大規模な検疫や医療機関での治療などを負担した。

 その後、感染者がいる可能性があったオランダ船籍のクルーズ船「ウエステルダム」が沖縄に接近したが、日本政府は入港を拒否。その後もタイ、米領グアムなどが同船の入港を拒否した。

 こうした事態を受け、日本政府は入港国や旗国、船会社などで責任を分担できるような新たな仕組みを目指し、国際法に詳しい専門家やシンクタンクに課題整理や提言を委託する。月内にも成立する見通しの2020年度補正予算案に調査研究費6000万円を盛り込んだ。【田所柳子】

4/23(木) 18:13配信
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