日本人よりも政府の支援をあてにしない中国人

2020.5.11(月)

 日本全国で猛威を振るうコロナウイルスに対する経済対策のうち、国内外を問わず今最も注目されている政策といえば、「日本国内の全居住者(外国人居住者などを含む)に対する一律10万円の特別定額給付金」のほかないでしょう。筆者が住む中国においても日本の同政策に対する注目度は高く、メディアなどでよく取り上げられています。

 中国における経済対策は今のところ、企業への税金権限や雇用補助金支給、生活困窮者への支援金支給などが主となっています。消費刺激策としては商品券の配布にとどまっており、現金を一律で支給する日本に対して「中国よりも社会主義的じゃないか」という声も聞かれます。

 そこで今回は、中国で行われているコロナウイルスへの経済対策の中身と、現金給付策に対する中国の見方を紹介します。あわせて、今回のコロナウイルスの流行によって見られた両国における政府への依存意識の差について考えてみたいと思います。

中国の主なコロナ関連支援策

 世界に先駆けコロナウイルスが全土で蔓延した中国では、これまですでに様々な経済対策や、生活補償支援策が実施されています。

 法人向けの支援内容は主に税制上での減免です。医療・衛生対策用品や設備の購入や販売に関して、税額を大幅に減免しています。またこうした製品を作るメーカーに対しては設備投資を促すため、新規設備購入代金に対する補助金が直接支給されていました。

安倍政権が隠す新型コロナ「日本の奇跡」の原因

 このほか休業中の企業に対しては、従業員の雇用を維持する前提で、一部賃金に対する補助金を支給する自治体もみられました。感染防止目的で営業停止命令が出されていた映画館など娯楽施設運営業者に対しては、日本同様に休業補償金が支給されています。

 個人向け支援に関しては自治体間で金額に差があるものの、疫病流行によって職を失い、生活が困窮した市民への生活補償金を支給する自治体は少なくありません。中には吉林省のように、感染者の治療に携わる医療従事者に対して1日当たり300元(約4500円)の特別手当を支給する自治体もありました。

 一方、現金給付のような消費刺激策については、中国国内の全居住者を対象とした一律給付というのは行われておらず、議論もされていません。現金給付を独自に行っている一部自治体もありますが、その大半は、食品などの購入に用途を限定した商品券を配布する形態が取られています。なお、こうした商品券を電子商品券で支給する自治体に対しては、機械操作に慣れない高齢者への配慮に欠けるとの指摘が出ています。

10万円に中国人留学生「助かる」

 今回、日本が10万円を給付すると発表したことについて、中国では、その金額の大きさに驚くとともに、国内の全居住者へ一律支給するという点に注目が集まりました。中でも日本国内で勤務、または留学している中国人も受け取れるという点について「非常に公平」だとして好意的な評価がみられます。

 現在、日本の大学に留学している中国人の知人に10万円の給付についてどう思うか尋ねたところ、「素直に助かる」との答えが返ってきました。その知人によると、外国人留学生は日本国内でのアルバイトで学費や生活費を賄っており、新型コロナ流行によってアルバイト勤務日数が減らされるなど、金銭的に苦しい立場に置かれている学生が少なくないそうです。それだけに10万円が給付されることによって助かる学生は多いのではないか、と話していました。

↓続き
https://news.livedoor.com/article/detail/18241667/