吾妻鏡、北条政子演説意訳

頼朝公に忠勇なる八幡太郎の武者たちよ。各々心を一にして聞いてほしい。
これは政子、最後の言葉である。

我々は英雄の子、実朝を失った。しかし、これは終焉を意味するのか?
否!始まりなのだ! 公家勢力に比べ、我等関東の国力は30分の1以下である。
にもかかわらず今日まで戦い抜いてこられたのは何故か?
諸君!関東の戦争目的が正義だからだ。これは諸君らが一番知っている。

我々は公家共にいいように使われ、関東移民にさせられた。
そして、一握りの公家が奥羽にまで膨れ上がった朝廷を支配して400余年、
関東に住む我々が自由を要求して何度公家どもに踏みにじられたか。
頼朝公が掲げた自由のための戦いを八幡神が見捨てるわけはない。
私の子、諸君らが愛してくれた実朝は死んだ。何故だ!?

新しい時代の覇権を我ら選ばれた関東武士が得るのは必然である。
ならば、我らは襟を正し、この時局を打開しなければならぬ。

我々は源家と共に過酷な関東を生活の場としながらも共に苦悩し、
錬磨して今日の文化を築き上げてきた。その恩義はシュミ山より高く、海よりも深い。

しかしながら朝廷の公家共は、自分たちが東国の支配権を有すると増長し我々に追討の偽綸旨を下す。
諸君の父も、子もその公家の無思慮な抵抗の前に死んでいったのだ!
この悲しみも怒りも忘れてはならない!
それを、実朝は死をもって我々に示してくれた!   

我々は今、この怒りを結集し、公家共に叩きつけて、初めて真の勝利を得ることができる。
この勝利こそ、源家への最大の恩義となる。
坂東武者よ!悲しみを怒りにかえて、立てよ!坂東武者よ!
我ら関東武士こそ選ばれた民であることを忘れないでほしいのだ。
優良種たる我らこそ日の本を救い得るのである。

この演説で武士の時代は始まったと言う学者もいるくらいだからな