新型コロナウイルスのパンデミックによって、多くの国では学校が閉鎖された。いつもはにぎやかな校庭からも、子どもたちの姿が完全に消えてしまったのだ。そんな校庭を米国のフォトジャーナリストがドローンで空撮したところ、そこには抽象画のような風景が広がっていた。

新型コロナウイルスがサンフランシスコのベイエリアに広がる以前は、写真のRAWファイルを数秒もあればアップロードできたと、フォトジャーナリストのジャスティン・サリヴァンは言う。それがいまは、数分かかってしまうこともあるという。

「午後時2から6時の間は、ネットが“死んで”しまってるんです」と、サリヴァンは言う。「誰もがZoomでヴィデオ通話をしたり、ネットで映画を観たり、いろんなことをしていますから」

その「いろんなこと」には、子どもたちの勉強も含まれる。ベイエリアの6つの郡は3月17日(米国時間)、新型コロナウイルスの感染拡大を遅らせるために、屋内退避勧告を発令した。それ以後は学校が閉鎖され、教育の場はオンラインへと移っている。

子どもたちは「Google Classroom」のようなプラットフォームを利用して、小テストを受けたり、宿題を提出したり、先生や友達とヴィデオチャットしたりしている。たとえ現実世界の教室が、学年が終わる6月まで空っぽのままでもだ。

あるときサリヴァンは「Google マップ」を眺めていて、驚くほどカラフルな校庭を見つけた。彼が学校閉鎖に対する独自の視点を見出したのは、そのときだった。こうしてサリヴァンはGoogle マップの衛星写真に目を凝らし、そこで見つけた最高にクールな校庭を自身のドローン「DJI Mavic 2 Pro」で写真に収めたのである。


不気味なまでの静けさ

サリヴァンはこれまでも、このドローンで在庫でいっぱいの新車置き場や、コストコの周りをぐるりと囲む客の行列など、サンフランシスコで起きているさまざまな変化を記録してきた。「このドローンは、今回の危機がどれだけ巨大であるかを本当に理解するために、必要なコンテクストを提供してくれます」と、彼は語る。

200フィート(約60m)の高さから見下ろすと、学校のグラウンドは抽象画へと姿を変える。その形や曲線は、ジョアン・ミロの作品から抜け出てきたようだ。だが、何より目立つのは、鬼ごっこや“ケンケンパ”、縄跳びに興じる子どもたちでかつては埋めつくされていた場所の、不気味なまでの静けさだ。

子どもたちのあり余るエネルギーは、いまではNintendo Switchや、子ども向けのエクササイズサイト「GoNoodle」へと向けられている。子どもたちをいま結びつけているのは、壁を通る光ファイバーと銅のワイヤーだけなのだ。

※ソース元に複数画像あり
2020.05.23 SAT 12:00
https://wired.jp/2020/05/23/eerie-stillness-empty-schoolyards/#galleryimage_555925-3848_1
https://wired.jp/wp-content/gallery/200520sullivan/01-photo_schoolyards_1213368126.jpg