日本のタネが企業に私物化される


―― 種子法廃止と同様、日本農業の根幹を変える種苗法改正案が提出され、今国会で成立する見通しです。

山田正彦氏(以下、山田): 種子法廃止はいわば「外堀」を埋めただけで、「本丸」は種苗法改正だったのです。これにより、海外企業によるタネの支配、ひいては農業支配への道が開かれます。

 ポイントは、タネを開発した「育成者の権利」(育成者権)の保護を強化するという点です。1991年にUPOV(植物の新品種の保護に関する国際条約)が改正されてから、知的財産の一つとして「育成者権」が認められるようになりました。作曲家は自分の作った楽曲の著作権を持っていますが、それと同じように育成者は自分の作り出した品種の育成者権を持っているということです。
 一方、日本が2013年に加入したITPGR(食糧・農業植物遺伝子資源条約)では「農民の権利」として、育てた作物に実ったタネを自分で採って植えるという自家採種・自家増殖の原則自由を認めています。
 そのため、現行の種苗法では農水省が「登録品種」という枠組みで育成者権を保護していますが、それも含めて農家の自家採種は自由でした。ところが、今回の改正によって登録品種の自家採取は原則禁止になります。これに違反した場合は、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(農業生産法人は3億円以下の罰金)が課されます。さらに共謀罪の対象になります。

 ここには大きな問題があります。現在、世界の種子市場は「バイエル・モンサント」、「ダウ・デュポン」、「シンジェンタ・中国科工集団」というグローバル企業3社が70%以上のシェアを寡占しています。彼らにとって農家の自家採取はビジネスの邪魔です。農家が自分でタネを採って植えていたら、自分たちのタネが売れないからです。そこで、モンサントなどは世界各国で「育成者権の保護」を名目に、自家採取禁止法案を推し進めてきたのです。種苗法改正は世界中で批判された「モンサント法」そのものなのです。


詳細はソースにて
https://hbol.jp/219735
コロナ禍の中、安倍政権が火事場泥棒的に進めた「種苗法改正」。今国会は見送りが決まったが、もし通れば日本の食と農業が壊滅する<山田正彦氏>
2020.05.23



関連記事)
https://hbol.jp/169834
5分でわかる種子法廃止の問題点。日本人の食を揺るがしかねない事態って知ってた? 2018.07.07

https://www.chosyu-journal.jp/shakai/8086
種子法廃止や種苗法改定に潜む危険 外資が種子独占し農業を支配する構造 2018年5月24日

http://blog.rederio.jp/archives/4148
アルゼンチンでのモンサント法案との闘い 2019/04/27

以上