賭けマージャンで辞職した黒川弘務・前東京高検検事長の定年延長問題を巡り、首相官邸と検察の確執が表面化している。これを受け、6月17日の通常国会会期末までに、国会議員を対象にした「逮捕許諾請求」が検察側から出されるのではないかという臆測が永田町で飛び交っている。請求の可能性は本当にあるのか、東京地検特捜部で副部長を務めた若狭勝弁護士に聞いてみた。【政治部/青木純】

 国会会期中の国会議員は、原則として逮捕されない「不逮捕特権」が憲法で認められているが、会期中でも議員の所属する院が逮捕許諾を議決すれば逮捕できる。手続きは、まず検察庁が逮捕状を裁判所に請求し、裁判所が「逮捕相当」と認めれば内閣に許諾要求書を提出する。さらに、内閣が議長に許諾請求し、議院運営委員会の審査、本会議の議決を経て裁判所が逮捕状を出すという流れだ。

 もし逮捕許諾請求となれば、東京地検に2003年3月、政治資金規正法違反容疑で逮捕された坂井隆憲・衆院議員(当時)以来、17年ぶりとなる。

 近年の検事総長はおよそ2年で交代する慣例があり、稲田伸夫検事総長も今夏の勇退が予測されていた。法務・検察は当初、今年7月が定年予定の林真琴名古屋高検検事長を、稲田氏の後任の総長に据える構想だった。しかし、官邸は昨年末の段階で、黒川氏の定年(今年2月)前に稲田氏を辞任させ、黒川氏を後任に据えるシナリオを描いた。

 官邸の意向に沿って、法務・検察は稲田氏に辞任を打診したとされるが、稲田氏は譲らなかった。そのため、法務省が…(以下有料版で,残り1102文字)
残りの見出し「若狭氏「検察は手の内見せない」」
毎日新聞2020年6月4日 06時00分(最終更新 6月4日 06時00分)
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