新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の解除から25日で1カ月となった。東京都が6月に入って発令した警報「東京アラート」も既に解除されているが、都内は24日に55人、25日も48人の新規感染者が確認されるなど収束にはほど遠い。都は経済活動が萎縮することへの懸念からアラート再発令に慎重で、発令基準も変える方向で検討中だ。「何のためのアラートだったのか」と疑問の声も上がっている。

 「アラートが出てお客が一気に減った」。文京区の居酒屋の男性店長(52)は言う。5月25日の宣言解除から客は戻り始めたが、6月2日のアラート発令を境に予約キャンセルが目立つ。アラートに営業自粛などの拘束力は一切ないが、「回復の兆しが消え、店は安定していない」と話した。

 都内の1日あたりの新規感染者数は4月17日にピークの206人を記録してから減少傾向が続いたが、宣言が解除された前後から増加に転じた。ホストクラブなど「夜の街」に関係する感染が目立つようになり、都はアラートを発令。東京湾にかかるレインボーブリッジや、都庁舎が真っ赤にライトアップされた。

 その後も歌舞伎町などの歓楽街を抱える新宿区で多くの若者の感染が確認されたが、都は発令10日目の11日、発令の目安とする3指標が基準を全て下回ったとして、アラートを解除。同日、休業要請の緩和をカラオケ店などにも広げる最終段階「ステップ3」への移行も決めた。小池百合子知事は「数字も落ち着いてきており、東京アラートの役目も果たしたのかなと思う」と説明した。

 このタイミングで解除した理由について、都の担当… 残り488文字(全文1160文字)

毎日新聞2020年6月25日 21時05分(最終更新 6月25日 21時22分)
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