男女平等・多様性を尊重する条例を否決 主要与党「多様性の拡大解釈を懸念」 沖縄・宜野湾市議会 

 【宜野湾】宜野湾市議会(上地安之議長、定数26欠員1)は29日の6月定例会最終本会議で、松川正則市長提案の「市男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」案を、主要与党会派の反対多数(賛成11、反対12、欠席1)で否決した。条例案の名称や内容に議員から疑問の声が上がっていた。議会事務局によると、市提案の条例案を与党が否決するのは異例という。

 条例案には与党の絆クラブと絆輝クラブの議員が反対した。野党の結・市民ネットワークや社民党、中立の「共生の会」や「和みクラブ」、与党の公明党が賛成した。

 条例案は全ての人が性別などに関係なく平等で多様性を認め合い、人権の尊重などを目指す理念条例。市や市民、自治会などの責務を記し、DVやヘイトスピーチといった人権侵害を禁じる。罰則規定はない。条例案の採決前、反対と賛成の討論があり計6人が意見を交わした。

 主要与党の3人は、男女共同参画社会基本法を引き合いに反対討論した。

 3人は同法に「『多様性を尊重する社会』との文言は存在しない」として、案に形式的な不備があると指摘した。条例案に盛り込んだ「多様性」や「性別等」などの文言に「意図しない拡大解釈をされる」と懸念を示し、ほかの自治体と同じ「男女共同参画を推進する条例」の策定を求めた。

 野党と中立の議員3人は賛成討論で、市による条例案の策定手続きに問題はなかったとし「人権尊重の街の実現を図るため、条例の制定は必要だ」と訴えた。松川市長は議会終了後に「残念だが、否決は重く受け止める。意見や指摘を検証し、今後の方向性を検討したい」と述べた。

琉球新報 2020年6月30日 10:42
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