永田町に「解散風」が吹き始め、与野党の衆院議員は浮足立っている。永田町では、気の早い向きの間で次期衆院選日程「10月13日(仏滅)公示・25日(大安)投開票」まで流布されている。

 年内早期の衆院解散・総選挙説が急浮上したのは、安倍晋三首相が6月19日、約3カ月ぶりに夜会合を再開したことがトリガー(引き金)となった。

 安倍首相は同夜、東京・虎ノ門のホテルアンダーズで、麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官、甘利明・自民党税調会長と2時間半、会食した。

 早期解散論者として知られる麻生氏の呼びかけに、安倍首相との隙間風が指摘されてきた菅氏が応じたことから、安倍、菅両氏の関係修復が喧伝された。

 4者会食前後他の夜会合も、その日時と場所をチェックすると興味深い。

 16日=東京・赤坂の日本料理店「浅田」で、麻生氏と、二階俊博幹事長。両氏の側近である鈴木俊一総務会長と松本純国対委員長代理、林幹雄、金田勝年両幹事長代理が同席。

 17日=東京・東麻布の中国料理店「富麗華」で、二階、菅両氏。菅氏に近い森山裕国対委員長と、二階氏最側近の林氏が同席。

 22日=東京・丸の内のパレスホテルの日本料理店「和田倉」で、安倍首相と細田博之元幹事長。細田氏は党内最大かつ首相の出身派閥である清和会(細田派)の領袖(りょうしゅう)。

 24日=赤坂の日本料理店「たい家」で、安倍首相と二階氏。林氏同席。

 「浅田」は赤坂で数少なくなった料亭のなかで自前の高級和食を供する店で、二階氏の麻生氏への配慮である。

 「富麗華」は中国料理が好きな菅氏への配慮である。そして、「たい家」も鯛料理で名高い名店であり、安倍首相への気配りである。

 店選びにも気を配る二階氏が、9月に予定される内閣改造・自民党役員人事で自らの幹事長続投を強く願っていることがうかがえる。

 肝心の「今秋解散総選挙の可能性」である。新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからないので難しいとの指摘は承知している。

 だが、安倍首相とその側近グループが総選挙に向けて秘策を胸中に秘めているとみる。

 その秘策とは、消費税率8%への引き下げと、所得1000万円以下を対象に1年間の所得税免除。前者は年5兆6000億円歳入減、後者が約7兆円の歳出で可能となる。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

2020.6.30 zakzak
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/200630/pol2006300001-n1.html