オーストラリア東部ニューサウスウェールズ州議会の委員会は30日、昨年9月から今年2月ごろにかけて続いた大規模な森林火災の影響などにより、政府が野生のコアラの生息地保全に取り組まなければ、2050年までに州内でコアラが絶滅するとの調査結果を発表した。

委員会の報告書は、生息地の損失がコアラの生存にとって最大の脅威であるにもかかわらず、森林伐採や開拓が続いていると指摘。さらに昨年からの森林火災で州内の生息地の24%が影響を受け、一部の地域では81%が焼失したとしている。

昨季の森林火災では少なくとも5千匹が死んだと推測。州政府は生息数を3万6千匹とする推計を発表しているが、報告書は「時代遅れで信頼性の低い数字」として、実際はもっと少ないとの見解を示した。

このため「生息地を守り、他の全ての脅威に対処するには政府の緊急の介入が不可欠」として、コアラの保護を目的とした国立公園の造成などを求めた。

保護団体「オーストラリアコアラ基金」によると、同国で野生のコアラが生息するのはニューサウスウェールズ州など本土東部と南東部のみ。16年時点で全土に33万匹が生息するとの推計がある一方、同基金は既に10万匹を切っているとみている。(共同)

日刊スポーツ[2020年6月30日18時44分]
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