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時事通信

印首相、中国対応に腐心 国境問題でバランス考慮
インド北部ラダックで、軍部隊を前に演説するモディ首相=3日、インド政府提供(AFP時事)
 インド北部ラダックの対中国国境地帯で6月中旬、インド軍と中国人民解放軍が衝突し、インド兵20人が死亡した事件を受け、モディ首相が対応に腐心している。

 米国に次ぐ貿易相手国の中国に対し強硬な措置は取りにくい一方、国内で反中感情が高まる中、対応を誤れば国民の支持を失いかねないからだ。

 モディ氏は3日、ラダックの前線陣地を訪問。兵士をたたえた上で、「拡張主義勢力は敗北し、引き返していくことになる」と鼓舞したものの、中国を名指しで批判することは避けた。

 インドでは今回の事件を受けて抗議行動が発生。中国製携帯電話の販売店の看板が破壊されたり、習近平国家主席の写真や中国製品が燃やされたりした。政府は6月29日、動画アプリ「TikTok(ティックトック)」など中国企業が提供する59のスマートフォンアプリの国内での使用を禁止。今月1日には中国企業が道路建設に関与することを禁じた。

 中印両国は2017年にも国境地帯で2カ月近く軍を対峙(たいじ)させたものの、18年の非公式首脳会談以降は融和を図ってきた。中国は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を通じインドへの投資を実施。AIIBは今回の衝突直後の6月17日にも「新型コロナウイルス対策」として7億5000万ドル(約800億円)の融資を発表した。インドにとって中国は経済的に不可欠の存在になっている。

 インドのオブザーバー研究財団のハーシュ・パント特別研究員は「モディ氏は、中国と国民との間でバランスを取っている」と分析。国内感情に配慮しながら「中国外し」を演出していると指摘した。

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