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毎日新聞

千葉県内唯一の村、ふるさと納税好調 返礼品と村長「直電」が貢献
村長室から電話をかける小高陽一村長=千葉県長生村役場で
 千葉県内唯一の村、長生村に寄せられるふるさと納税の寄付額が好調だ。2018年度は県内1位となり、19年度もトップクラスを維持する見込み。ギフト券などで市税の2倍以上の寄付を集めた大阪府泉佐野市の例が示すように、ふるさと納税は返礼品の人気度が反映されるが、長生村の場合はそれだけではなさそうだ。【金沢衛】

 総務省の調査によると、同村への寄付額は16年度に1億円を突破し、17年度に3億5000万円、18年度は6億2644万円と急増。県内では17年度まで2年連続1位だった勝浦市を退けて初のトップに立った。19年度は村の集計で4万7525件、7億9250万円。19年度は台風被害の大きかった南房総地域への寄付が集中して県内首位の座は譲る見通しだが、金額は過去最高となった。返礼費用などを除いて実質的な収入額は19年度は約4億円に上り、年間予算68億円、村税収入16億円の村にとっては大きな財源となる。

 返礼品はコメやソバなど農産物の他に、村内に本社を置く水産加工会社が扱うカニやエビなどで近隣自治体と大きな差はない。海産物が返礼希望全体の半分を占めて人気を押し上げてはいるが、小高陽一村長は「毎年寄付してくれるリピーター率が6、7割にのぼり、口コミのおかげでファンが広がっている」と分析する。こうした「長生ファン」を増やすのに貢献しているとみられるのが、16年から始めた小高村長自ら寄付者に直接かけるお礼の電話だ。5万円以上の寄付者を対象に、寄付のあった翌月に1人ずつ村長室から電話をする。

 「このたびはご協力ありがとうございました。返礼品はいかがでしたか。引き続きよろしくお願いします」。相手の過去の寄付歴やコメントを村長自らで調べて「これまでに20万円も寄付いただきました」などと話題を振ることもあるという。もちろん「村長です」と名乗ることを忘れない。19年度は1480人に電話し、年末の寄付が集中する時期には数日間にわたって600本をかけることになった。

 電話を受けた寄付者のほとんどは村長自らの電話に驚くという。届いたコメに虫が混入していたと指摘された際には、謝罪するとともにその場で職員に連絡し、再送を約束した。電話は迷惑にならない在宅の可能性が高い午後5時から7時をねらう。こうした村長の丁寧な対応ぶりが奏功してさらに寄付者を増やすことにつながっているとみられている。

 小高村長は「相手の顔が見えないでやりとりする時代だからこそ、末永く付き合っていくには気持ちが通じ合えるように対応することが大切。寄付にとどまらずに実際に村を訪れてもらい、さらには移住も考えてみてもらう機会になる」と手応えを語っている。

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