山形市出羽地区で40年以上、紅花栽培を続ける農家長瀬正美さん(68)の畑で、花摘みが最盛期を迎えた。染料に使うため急ピッチで早朝の作業が進む。

 山形県内の紅花は古くから「半夏(はんげ)一つ咲き」と呼ばれ、夏至から数えて11日目の半夏生の頃から咲き始める。3日は朝露でとげが柔らかい午前4時ごろから約10人が花摘みに精を出した。

 山形は最上川流域の肥沃(ひよく)な土壌と朝露の立ち込める気候が栽培に適し、「最上紅花」の産地として知られる。

 花弁を染料の原料となる「紅もち」に加工する際、手作業で行う伝統的な技法を守り続ける長瀬さん。来年はその姿を追ったドキュメンタリー映画が完成する予定で、「紅花文化を共有するきっかけになれば」と期待する。

河北新報 2020年07月05日 日曜日
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