関係者「振り出しに戻った」

 2017年の九州豪雨で被災した福岡県朝倉市の原鶴温泉の一部も再び被害に見舞われた。新型コロナウイルスの流行が一段落し、観光業はようやく光が差してきた直後だっただけに、関係者は「振り出しに戻った」と嘆く。

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 濁流となった筑後川が目前を流れる老舗旅館「原鶴温泉 泰泉閣」。6日夜から7日朝に近くの用水路から水があふれ、1階の調理室に膝の高さまで流入、冷蔵庫や調理台のほか、同階の温泉用設備も漬かった。

 同館は3年前も同じ被害に遭った。何とか復旧し、営業が軌道に乗りかけたところにコロナ禍が襲う。4月下旬から営業自粛を強いられ、今月1日に再開。今度こそ日常に戻れるとほっとしたばかりだった。林恭一郎社長(45)は「これからなのに残念。早く穏やかな筑後川の風景を楽しめる日が来てほしい」と話す。

 原鶴温泉旅館協同組合によると、名物の「鵜(う)飼い」を観賞する屋形船2隻が流失。今季はコロナ禍で一度も出番がないまま、先行きが見通せなくなった。

 組合の庄崎茂事務局長(51)は「遠のいた客足を取り戻すためさまざまな企画を始めようと準備していたのに、水を差された感じ。豪雨はこりごりです」と肩を落とした。

(大坪拓也、横山太郎)

西日本新聞 2020/7/8 6:04 (2020/7/8 6:08 更新)
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