7/11(土) 20:34
時事通信
 
 政府・自民党は、弾道ミサイルなどの発射拠点をたたく「敵基地攻撃能力」の名称変更を検討している。

 憲法や国際法に違反する「先制攻撃」と区別するとともに、専守防衛に徹する政府方針を強調し、国民の理解を得るのが狙いだ。「自衛反撃能力」などが候補に上がっている。

 政府・自民は陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」導入断念に伴い、新たなミサイル防衛策と抑止力強化の議論に着手。10日の自民関連会合では、有識者として呼ばれた谷内正太郎前国家安全保障局長は「一定の打撃力を持つべきだ」と提案した。

 政府は「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨だとは考えられない」(1956年の鳩山一郎首相答弁)として、敵の攻撃を防ぐために他に手段がなければ、敵基地攻撃は自衛の範囲内との立場だ。

 それでも名称変更を検討するのは、憲法の枠を超えた先制攻撃との誤解を避けるためだ。自民党の佐藤正久参院議員は9日の参院外交防衛委員会で、「自衛反撃能力」の名称を提案。政府高官は「それも一案だ」と語る。

 ただ、自民党は2017年、防衛計画の大綱策定に向けた政府への提言で、「敵基地反撃能力」との表現を使ったが浸透しなかったため、名称を変えても定着するかは不透明。専守防衛の原則を逸脱するとの根強い慎重論を払拭(ふっしょく)できるかも未知数だ。 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200711-00000091-jij-pol