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産経新聞
 
 【香港=藤本欣也】9月6日の香港立法会(議会)選に向けた民主派の予備選が12日、終了したことについて、香港政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は13日、国家政権転覆行為を禁じた「香港国家安全維持法」(国安法)違反の可能性があるとの見解を示した。政府は同日、調査を開始したとも発表。政治的混乱が広がる可能性が出てきた。

 民主派によると、予備選の投票者数は目標の3倍以上となる61万人を超えた。今回の投票は、香港政府高官が「予備選は国安法違反の疑いがある」と警告する中で行われた。市民は投票を通じて、中国が導入した国安法への反対を表明した形だ。

 これに対し、林鄭氏は13日夜、緊急に記者会見し、民主派の予備選について、政府の施政を阻むために立法会選で過半数の議席を獲得することを目的にした選挙であれば、国安法違反の可能性があると指摘した。

 また、新型コロナウイルスの感染が拡大しているとして、集会制限措置を再び強化するとし、5人以上の集会を禁止すると発表した。政府は同日、「予備選が選挙の秩序を乱した」などとする市民らの訴えを受けて、調査を開始したことも明らかにした。

 一方の民主派は同日、約59万票の電子投票分の結果を発表。九竜東選挙区では、民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏がトップに立ち、立法会選出馬を確実にした。立候補の届け出は18日から始まるが、当局が黄氏の言動を問題視し、立候補を認めない可能性もある。

 民主派は予備選の投票者数の目標として、昨年11月の区議会選で獲得した票数の1割に相当する17万人を掲げていた。予備選の準備・運営に当たった民主派の区諾軒(おう・だくけん)元立法会議員は12日夜、「香港人は奇跡を起こした」とコメントした。

 民主派は前回2016年の立法会選で、定数70のうち30議席を獲得した。

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