新型コロナウイルスの影響で鉄道会社の収益が大幅に低下しています。こうした中、JR東日本は時間帯別運賃の導入検討を表明しました。ラッシュ時間帯の運賃を高くすることで、通勤の分散化を図る意向ですが、背景には総収入の低下を防ぎたいとの意図があります。場合によっては事実上の大幅値上げになる可能性もあり得るでしょう。
コロナ危機の発生以降、非常事態宣言が発令されたことや、国民の自主的な外出抑制、テレワークへの移行などによって鉄道を利用する人の数は大幅に減少しています。JR東日本の月別の鉄道営業収入は、4月が前年同月比76%減、5月は71%減となっており、自粛が緩和されたかに見えた6月も46%減と低く推移しています。政府は観光や旅行を回復させようと需要喚起政策である「Go To トラベル」キャンペーンを開始しましたが、多くの国民は依然として外出に抑制的となっており、効果を発揮しない可能性も指摘されています。

 こうした中、JR東日本は、運賃制度の見直しに向けた議論に着手する方針を表明しました。具体的な手法としては、ラッシュ時間帯に運賃を高くするといった仕組みが検討されています。

 JR東日本が運賃体系の変更を検討する最大の理由は、今後の鉄道の利用見通しです。現時点において鉄道各社は旅客数の減少に見舞われていますが、同社の深沢祐二社長は「以前のように利用客は戻らないと思う」という見解を示しています。つまり、現時点での減収は一時的なものではなく、今後も中長期にわたって利用者の減少が続くと予想しているわけです。

 当然のことながら、鉄道会社は現時点での利用者数を前提に経営を行っていますから、長期的な見通しが変わる場合には、そのビジネスモデルも大きく変えなければなりません。鉄道はインフラ事業ですから、短期的に大胆なコスト削減はできませんから、収益低下を補う最大の手法は値上げということになります。
7/28(火) 6:30
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