藤野隆晃 2020年7月28日 15時24分

 料理に彩りを添える「ししとうがらし」は、時に辛い実を引き当ててしまう。この問題を解決し、より多くの人に食べてもらおうと、和歌山県と京都教育大が辛い実が生まれない新品種「ししわかまる」を開発した。来年以降、栽培を本格化させるという。

 県によると、ししとうがらしは、県内では山間部を中心に栽培され、全国第3位の出荷量がある。現在の品種では、流通する約1割に辛い実が含まれるという。辛い実を引き当てることを心配して買うのをためらうのではと考え、県などは2013年から辛い実が生まれない品種を開発してきた。

 長年県内で栽培されている品種「紀州ししとう1号」とピーマンの交配などを続けて今年3月、辛み成分を作る遺伝子を持たない「ししわかまる」を開発した。大きさや色といった見た目、味、収穫量などは「紀州ししとう1号」とほぼ同じ。7月ごろから一部で収穫を始め、来年以降に本格的に栽培できるよう準備を進めているという。

 開発を担当した県農業試験場暖地園芸センターの田中寿弥主査研究員は「辛い実がないので安心して食べてもらえる。家庭などで消費してもらいやすいのでは」と話した。(藤野隆晃)

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