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ハワイの新聞紙が盛んに日本のハワイに対する野心を書き立てた頃、私はホノルルの有力なる実業家に対し、
「貴君はかかる新聞記事が全然無稽であることを御承知ではないか、
日米親善のため何故その無稽であることを説明し、有害な宣伝を絶滅するように尽力なさらぬか」
と質問した。
すると、その米人実業家は、私の肩をたたいて答えた。

「君、考えて御覧なさい、ハワイの産業は単に製糖事業に過ぎない。それでは何時不況時代に遭遇するかも知れぬ。
そこで漫遊客の誘致策も試みねばならぬが、そんな事では手緩くて安心がならぬ。
合衆国政府の金をしこたまハワイに吸収することが何よりの安全策である。
しかし、それには日本を傀儡とせねばアンクル・サムはハワイに巨額を与えて防備などして呉れぬではないか、
これが最上のハワイ繫栄策だよ」。

加州方面でも同じ調子で恐日病が宣伝されるのである、
それは米国人が国家観念以上に地方的利害を考えるという、吾々には理解し難い心理に原因するものである――と考えた。

ジャパノフォビアは多くはかかる政治的若しくは経済上の目的に利用さるる傀儡である。